淋しい2010/12/29 19:45

スピードスケート全日本スプリントで初優勝した小平奈緒選手。優勝が確実視される中で勝つことの感想を聞かれ「淋しい」と答えた。「私は皆さん全員とハグして回りたいくらい嬉しいのに・・・」周囲は優勝しても当たり前のような空気、リアクションの薄さに切なさを感じたよう。小平選手はそんな、淋しい告白に続いて「福島さん」と陸上女子短距離の福島千里選手の名前を出した。■スケートの会場でチャンピオンが口にした名前を、始め陸上のスプリント女王と一致させられなかったが、「福島さんは勝っても、良い記録で走っても、新記録じゃないと『残念ですね』と言われてしまった」と続けた話の中身は紛れもなく福島千里選手のことだった。小平選手は「福島さんや(浅田)真央ちゃんとか、強い人には強い人たちの大変さがあるのだなというのを知ったので、(この淋しさが勝つことが当たり前と思われるようになったというものなら)そうした人たちの姿を励みにしたい」と話した。■視線は世界に向いている氷上のNo1スプリンターは陸上のスプリンターの姿にチャンピオンの持つ孤独な一面を感じとっていたのだろうか。◆画像は全日本スプリント女子総合2位の高木美帆、優勝の小平奈緒、3位辻麻希(左から)▼▼「淋しい」その②▼▼小平選手が淋し気に話したことがもう1つあった。■スピードスケートの女子500メートルでバンクーバーオリンピックに出場した選手(岡崎、吉井、小平)のうち今季試合に出ているのは小平ただ一人。自分が日本のスプリントを牽引していくという自覚と誇りはあるが、世界と戦うためにもっともっと高いレベルで戦いたいと漏らした。ジュニア時代に注目されながら不振が続いていた辻麻希の活躍や高木美帆の頑張りは歓迎材料ではあるが、もっともっと層も厚く、上に行かなければと高い理想を掲げている。■バンクーバーまでは結果に直結するものを求めて結果も出してきたが、これからのシーズンは、近道をせず、時間のかかることにもじっくりと取り組んで行きたいと世界挑戦への強い気持ちをのぞかせた。【30日加筆】