女子ジャンプ140超の領域へ2011/01/10 21:05

2014年ソチ五輪での正式採用に向け盛り上がりを見せているスキージャンプの女子。10日に行われたHBC杯でスーバージャンプが飛び出した。■1対1で対決(ノックアウト方式)してトーナメントで行うこの大会。女子は4人を選出する予選で、まずは16歳、伊藤有希(下川商高1年)が134m50の日本人最長飛行でトップ通過を果たすと、準決勝ではダニエラ・イラシコが2009年の宮様国際ジャンプで記録した139メートルを更新する139m50と仰天のフライトを連発した。■しかし、驚きはこれで終わらなかった。女子ジャンプ注目の1人と言えば上川中学2年の14歳、高梨沙羅。予選2位。準決勝で現第一人者の渡瀬を下して勝ち上がって迎えた決勝。超ド級の飛行曲線を描いて大倉山を舞った。K点を、ヒルサイズを、遥かに越えて行く141メートル。■男子ではバンクバーオリンピックに出場した葛西紀明や伊東大貴らが白熱の争いを展開したが、完全に女子の試合に圧倒された。■大倉山のバッケンレコードタイ記録を持つ葛西は「140メートル級のジャンプは方向、タイミング、インパクトのパワーなど技術的にも完璧でなければいけない。それだけではなく、きちっと立つ「勇気」が必要、高梨沙羅選手、伊藤有希選手とも完璧といえる素晴らしいジャンプだった」と讃えた。■高梨は「ランディングバーン(着地地点)が平らに見えた。膝がガクガクするぐらビックリした。気持ちよかった」と感想を話し、それでも「もっと技術を高めたい」ともっともっと高い領域を目指す向上心を示した。【HBC杯優勝者:男子・伊東大貴、女子・高梨沙羅】▼▼▼▼UHB杯ジャンプ1月22日(土)▼▼▼▼

日本スキー100年に2011/01/11 16:19

山田いずみさん!画像ありますよ!!・・・スキージャンプの女子先駆者(2009年引退)のブログに夏見円選手の写真を撮り逃したとある。クロスカントリースキーの夏見円選手が10日、大倉山ジャンプ競技場でジャンプを観戦した。夏見選手は私的立場での観戦だが、高梨選手のスーパーアーチなどジャンプ観戦を楽しんだ。画像は山田いずみさんと夏見円選手のツーショット。■女子ジャンプのパイオニア、山田さんは引退後も公私に渡ってジャンプ振興やPRに力を注いでいる。夏見選手は2007年の世界ノルディック選手権のPR大使的な役割でテレビCMなどにも出演。大会では五輪、世界選手権を通じて個人種目女子初の5位入賞を果たした。いわば2人は日本のスキー振興の顔ともいえる。■今年は2月に世界選手権がノルディックスキーの母国、ノルウェーのオスロで開催される。ジャンプは女子の五輪種目正式採用の判断材料となる。好調時の感触を取り戻しつつある夏見選手にとっても再び世界で輝くステージである。スキー日本伝来100年の今年は2人にとっても重要な意味を持つシーズンなのだ。▼▼▼▼UHB杯ジャンプ1月22日(土)▼▼▼▼

帰省で一変した竹内択2011/01/22 23:54

浅田真央選手や高木美帆選手ならともかく、バンクーバーオリンピックに出場した選手でさえ知られていないことがあり驚く。スキージャンプでも日本選手団主将の岡部孝信選手や6回目の冬の五輪の葛西紀明選手なら「聞いたことある」くらいな人もいる。22日のUHB杯で優勝した竹内択選手や2位の栃本翔平選手もオリンピック選手。栃本選手は高校時代から世界選手権でメダルを獲得している。この2人にワールドカップで優勝経験を持ち、今季も大倉山2勝の湯本史寿選手が表彰台に乗ったのだから・・・これは豪華な絵柄なんだよね。■優勝の竹内選手、条件が違うということを差し引いても先週までとは大きく変わった。21日の練習を見ていたが、無駄なくきちんと立ち上がった。力強いが力みはない。素人目にも高さがとれ前進スピードが衰えず、観客に迫ってくる。140メートルを越えてきた。そして、22日の2本目は141メートル50。ヒルサイズを遥かに越えて141メートルをオーバーしてもテレマークをいれてきた。さらりと着地した。アプローチの視線を変えたのだという。僅かな変更だが大きく変わった。国内調整で開眼したようだ。このあとのワールドカップ、来月下旬の世界選手権が楽しみになってきた。■そして、この日のハイライトは岡部孝信選手の1回目。130アーチを描いて2位につける(結果は⑪位)。今季またルール変更があり、岡部選手の板はまた短くなった。おそらく長野のころから10センチほど短くなっているのではないだろうか。アルペン用のスキー、ジャンプでもキッズスキーなのかという短さ。科学的に浮力、揚力は確実に落ちる。そんなハンデがあっても反骨精神で新しい技術を身につけ過去よりも、今よりも、更にもっともっと高いレベルを見つめ飽くなき挑戦を続けている。これは凄い。「久々に距離がでました。内容はよくないですね」クールな男のまなざしは鋭い。■画像は9日

シンプルに2011/01/23 20:50

トリノ五輪(2006年)日本代表の一戸剛選手(アシックス)。トリノ翌年の年度末に突然、所属先から引退を告げられ引退セレモニーは勿論、ファンや仲間に挨拶もできずにジャンプスーツを脱いだ。所属企業を変えて背広(スーツ)に着替えた営業マンが昨シーズン現役に復帰した。週末だけ千葉県の国体コーチを頼まれたが、コーチだけではなく、選手として出場してみては?ということで、自分で飛んでみることに。■飛べたんですって。しかも、優勝争いや開催国枠とはいえ国際大会の日本チームに選ばれてしまった。23日は世界選手権代表組もいるなか3位、湯本、栃本と並んで表彰台に立った。・・・なんで?ジャンプってそんなに簡単なの?いいえ、そんなワケないですよ。そこにはオリンピック代表をつかみ取っただけの努力の「貯金」があったからなのだが、空飛ぶ営業マンが口にした言葉は「シンプル」。■ジャンプ技術も、考え方もシンプルにすることを心がけていると話す。大学生の指導をしているが「難しく考えすぎている」というのだ。「できることをやるだけ、どうなるか分からない先のことをあれやこれや考えていてもしかたない」と冷静にみている。■日替わりでヒーローが登場しないとね。僕じゃなくて。若い選手が出てこないとね。良い選手はいるんだけどね。代表がいるから今日はダメかなとか消極的になっているのかな。諦めてしまうのはもったいない。気持ちでは負けていない、そのメンタルも好成績の要因のようだ。

ノルディック世界ジュニア2011/01/26 15:37

先週、ブログ更新が滞っていたのには理由があります。UHB杯ジャンプの話題を発信し続けなければと意気込んでいたにも関わらずできなかったワケ。それは「エストニアに行け!」というミッションが密かに進められていたからです。■1月10日に大倉山で行われたスキージャンプのHBC杯。上川中学2年の高梨沙羅選手の141メートルのジャンプが世の中を動かしました。北海道の空飛ぶ中学生!と話題を呼び、北海道日本ハムファイターズのルーキー、斎藤佑樹投手ほどではないにしろ、東京のテレビ局でも特集が組まれるほど注目度がアップ。あの女の子の動向を追え!という機運が高まりました。■スキージャンプの女子はオリンピック競技にはありませんでした。トリノ、バンクーバーの頃にも女子ジャンパーたちは五輪競技入りを熱望し続けていましたが願いは退けられ続けました。特にバンクーバー大会での不採用は2009年の世界選手権での実施が決まっていただけにショックは大きかったのです。■オリンピックにない女子ジャンプにとって現状で最も大きな大会は世界選手権。そして、未成年のジャンプ選手にとっては世界ジュニア選手権がそれに次ぐ大会です。私のエストニア行きのミッションはそうした状況の中、動き始めたのです。エストニアのオテパで開催されるノルディックスキー世界ジュニア選手権を、日本のテレビメディアを代表して現地取材する方法をリサーチしてほしいというものでした。■これまでのスキー取材を通じて知り合った友人、知人、遠征する選手役員、旅行会社、ロシア特派員・・・いろいろな人に聞いてみました。バルト海に面するバルト3国の1つエストニア。首都タリンはフィンランド湾を挟んでフィンランドの首都ヘルシンキからもアクセスが容易で、世界ジュニアが開催されるオテパはタリンから250キロ、エストニア第2の都市タルトゥから40キロほどのところにあります。26日に出発すれば、女子ジャンプ個人の行われる27日夕刻には会場入りができるという目算もたてのです。■結局、20日の夜になって、エストニア行きはナシという連絡が入り、準備を進めてくれた方、情報をくださった方々にお断りを言って回りました(お礼を言えないままの方もいます)。■女子ジャンプが盛り上がりを見せているのには1つの大きな要因があります。これまでオリンピックになかった女子ジャンプですが昨秋状況が変わりました。IOCはメキシコで行った理事会でフィギュア団体などとともに新採用の方針をまとめたのです。正式決定はロゲIOC会長に一任され、来月オスロ(ノルウェー)で開催されるノルディックスキー世界選手権の競技レベルなどを判断材料として、春に結論を出すことになりました。■日本だけてはく、世界の女子ジャンプ選手が長年の夢実現にむけ燃えています。重要な判断材料となる世界選手権は2009年から女子が実施されましたが、女子にとっては2度目となる今年の大会もドイツ、オーストリア、アメリカなど強豪選手がハイレベルな戦いを展開するでしょう。■世界各地を転戦しシーズンチャンピオンを決めるワールドカップも来シーズン(2011/2012)からが実施されることも決まっています。ワールドカップのない現在、女子の世界ランキングを決めているのはコンチネンタルカップ。そのランキングで2位につけているのがコリーヌ・マテル(フランス)です。マテルは1995年11月生まれの15歳、9試合で4回優勝している超新星、世界ジュニアの優勝候補です。■世界ジュニアの女子ジャンプ日本代表は高梨沙羅選手(上川中2年)、伊藤有希選手(下川商業高1年)、田中温子選手(北翔大1年)、山田優梨菜(小谷中2年)の4人。個人戦は27日、団体は29日、現地からの良いニュースを待つことにします。

冬季スポーツの灯を消すな!2011/01/27 15:15

「アジアの冬のスポーツの灯を消してはいけない。ぜひ札幌でその火を引き継いでほしい」。昨年末、札幌市を訪れ、2017年アジア大会開催地の立候補を働きかけたJOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長はピンチに立たされている冬季スポーツの振興とスポーツ界における日本のリーダーシップを訴えた。■札幌市は今月、2017年のアジア冬季大会の立候補を決めている。ソチの次ぎ2018年のオリンピックを控えたプレオリンピックシーズ、高レベルの大会が予想される。2018年冬季五輪にはドイツのミュンヘンやフランスのアヌシーの他、韓国の平昌も立候補している。■アジアのスポーツレベルは高まっている。中国や韓国の強化は進み、日本は簡単には勝たせてもらえない。国内の強化予算も成果、成績に左右される。■日本代表はホスト国となる2017年を前に、この冬行われるアジア大会から最強のメンバーで臨む、特にスケート陣は目を見張る。スピードスケートはバンクーバーオリンピック男子500メートル銀メダリストの長島圭一郎、銅メダリスト加藤条治が世界スプリントを回避して万全の態勢で臨むのを始め、女子も小平奈緒、穂積雅子、高木美帆ら最強の布陣だ。結団式で旗手代行をつとめ話題になったフィギュアの村上佳菜子も楽しみ。スキーはジャンプの船木和喜、フリースタイルモーグルに里谷多英と長野金メダリストがチームを鼓舞する。■今年の冬季アジア大会はカザフスタンの首都アスタナとアルマトイで今月30日に開幕、8日間に渡り熱戦を展開する。■画像は日本選手団主将、船木和喜選手!キャプテンよろしくお願いします!!

ジャンプ女子個人/世界Jr2011/01/27 23:54

もう始まったかな?エストニアで行われているノルディックスキーの世界ジュニア選手権。27日はジャンプの女子個人!51人がエントリー日本からは山田、田中、伊藤、高梨の4選手が出場する!頑張れ日本!!■1回目トップはコリーヌ・マテル。96.5m。高梨沙羅は94.5mを飛び3位、伊藤有希は93mで5位。日本勢、メダルそれも一番奇麗な色が狙える好位置で2回目へ。田中が22位。山田27位で2回目に臨む。(午前1時加筆)

速報!伊藤有希が銅メダル!2011/01/28 01:43

ジャンプ界も「ゆうき」だ!スキーの世界ノルディックジュニア選手権の女子ジャンプ個人で日本の伊藤有希(下川商業高)が銅メダルを獲得した。伊藤は2回目に最長不倒の99メートルをマーク。1回目5位からジャンプアップし表彰台、メダルをゲットした。優勝はコリーヌ・マテル(フランス)、シニアを含めた今季女子の世界ランク2位の実力を見せつけた。1回目94.5mを飛び3位につけていた高梨沙羅(上川中2年)はスタート前に待たされる不運もあり、踏切のタイミングも若干はずし6位に止まった。メダルが見えていただけに悔しさもあるが、目標の6位入賞はクリア、29日の団体に希望が膨らんだ。田中温子(北翔大1年)が19位。山田優梨菜(小谷中2年)は30位。団体はスロベニア、オーストリアあたりが強敵か。■画像は今月3日、カメラに向かって新年の挨拶をしてくれた伊藤有希選手

ある意味!真の複合選手?/世界ジュニア2011/01/29 17:43

エストニア28日に行われたジャンプ個人、「純(スペシャル)ジャンプ」日本代表の小林潤志郎(東海大1年)選手は18位だったが、1回目は6位タイ。うーん、残念。本職の複合(ノルディック・コンバインド)では前回大会の金メダリスト、ジャンプと複合の異種メダリストの可能性もあったのですね・・・。ノルディックスキー界の救世主として活躍、期待しています。記憶違いかもしれないが、マリオ・シュテヒャーがジャンプ団体のメンバーに入ったことがあったかも?今のオーストリアでは考えられないけどね。

ジャンプ女子個人/世界Jr2011/01/29 18:04

【高梨沙羅6位】昨年、初出場で7位。今回は前回以上の6位以内を目標に掲げた高梨沙羅(上川中2年)。チャイナレールを滑り人工芝に着地する夏場のサマージャンプではコンチネンタルカップ(女子ジャンプ現状で世界最上位シリーズ)では開幕第2戦の2位など総合で日本勢最高の4位。雪上シーズンに入ると年末の名寄開幕戦こそタイミングのずれに苦しんだが、年末調整で感覚を取り戻すと年明けの雪印メグミルク杯で優勝、ラージヒルに舞台を移したHBC杯の決勝では141メートルの女子のバッケンレコードを打ち立てた。全日本の遠征方針でシーズン前半のコンチネンタルカップには参戦していないが、世界ジュニアの会場入り後も好調で、練習日には101.5メートルを飛んだらしく、公式練習では参加者最長の94メートルと飛距離を生む技術は健在、注目度は高かった模様。エストニア・オテパの台はこの大会の為に新設されたもので鉄筋の櫓式、風の影響を受け易いのかもしれないが、高梨の2回目はシグナルが赤になり、一旦ゲートを外さなければならなかった。もしかしたら、高梨の飛び過ぎをジュリー(競技役員)が心配していたのかもしれない。1回目94.5メートルで3位。メダル圏内で迎えた2回目だけに心理面への影響があった可能性もある。前後の選手が95メートル前後を記録する中で、高梨の飛距離は90メートル。着地後、テレマーク姿勢を解く仕草に「失敗してしまった、納得いかない」というガッカリした様子が出ていた。【伊藤有希3位】世界ジュニアは2008年から4年連続出場、これまでは2009年の10位が最高だった。父・克彦氏は下川町のジャンプコーチ、叔父・直人はユニバシアード金やワールドカップ出場経験もある元雪印ジャンプチームメンバー。小学生で大倉山を飛び(NHK杯テストジャンパー)、同年のコンチネンタルカップ札幌大会では3位表彰台。下川中時代にも当時女子ジャンプ最強の山田いずみを脅かす存在としても注目された元祖スーパージュニア。成長による身長の変化と体重が増えないことなどによる用具のマッチングに苦労していた。女子ジャンプが初めて行われた2年前の世界選手権は中学2年で出場し17位。代表選考では最終戦で優勝、土壇場で代表をつかみ取る勝負強さを見せた。今年度、地元の下川商業高校に進学、「シーズンを通じて好成績を残せる様に」という目標を掲げていた。2回目に飛んだ99メートルはオテパの女子バッケーンレコードだということだ。新年「タイガーマスク運動」が話題になった今年、かつて叔父の「タイガーマスク」ヘルメットを着用して飛んだタイガー少女がスキー女子初の世界ジュニアのメダルを獲得した。