新世代2012/03/03 11:08

3月最初の週、冬のスポーツ新世代女子が注目を集めている。山形・蔵王では女子ジャンプのワールドカップ。北海道・帯広ではスピードスケートの世界ジュニア選手権が開催されている。■ジャンプの女子は2012年ソチ大会からオリンピックでの実施が決まり、これまでなかったワールドカップも今季から行われている。従って蔵王でのワールドカップは「日本初開催」。しかも、ユース五輪、世界ジュニア(個人&団体)と今季次世代最強決定戦3冠の高梨沙羅(上川中3年)の日本女子ワールドカップ初優勝の期待も高まっている。■日本の冬のスポーツ・ニュージェネレーションの象徴といえば、バンクーバー五輪に当時中学生で出場したスピードスケートの髙木美帆(帯広南商高2年)。その髙木が地元開催の世界ジュニア選手権で奮闘している。今季国内で行われるスピードスケート最大のイベント。2年後のソチ有力候補の世界各国の10代のスケーターが熱戦を展開している。

沙羅Vに帯広も祝福2012/03/04 11:55

3月1日、帯広ー札幌日帰り、髙木美帆記者会見。3月2日、仙台経由山形、高梨沙羅会見。3月3日、女子ジャンプW杯2戦取材。3月4日、女子ジャンプW杯取材、その後、仙台経由帰札。これが先月計画を立てた動き。髙木美帆の顔をみて、肉声を聞き、初の女子ワールドカップ自国開催と高梨沙羅初優勝をこの目で見る!というもくろみだった。■現実は放送、取材エリア外の山形より、帯広を任せられた。19歳以下とはいえ世界トップが集う国際大会。現場に立ち会えて良かった。髙木美帆が地元開催で優勝を果たした。前日会見だけで、試合を見ないという計画は失礼だったか・・・。■足を運べなかった女子ワールドカップは蔵王第2戦で高梨沙羅が優勝した。他の2試合も2位と素晴らしい成績だ。帯広のスケート会場にいても高梨の快挙に祝福の声が上がっている。■世界ジュニア優勝の髙木美帆。髙木のある関係者は、高梨とともに日本の冬のスポーツを引っぱる存在では?という期待の声には、世界チャンピオンになったがジュニアのケテゴリー、ワールドカップではまだ10位前後の選手だからと謙遜、高梨選手に追いつかなければと決意を持つとともに、2年前の喧噪の経験から「高梨さんも注目される中で一層大変なこともあると思うが、壁を超えていってほしい」と祝福とエールを送った。

山本亮2012/03/04 15:48

ロンドンオリンピックの男子マラソン代表選考を兼ねたびわ湖毎日マラソン。日本人最先着は山本亮(佐川急便)だった。先頭集団を追わず、失速した選手を拾っていく作戦と全体の順位では4位と不満が残る内容だが、2時間8分台のタイムは合格点。他の選考会の上位者も減点要素があることとも関連してかなり代表入りが有力なのではないか。まあ根拠はないが。■山本亮の初マラソンは2009年の北海道マラソン。ダニエル・ジェンガ(ヤクルト)が冬のレース並みハイペースで飛ばして独走したが、終盤足に痛みがでて失速。なんとか2時間12分3秒で逃げ切ったのだが、そのジェンガを追いつめたのが、山本だった。ベルリンで世界陸上が行われた年で、旭化成の清水将也が活躍し、双子の兄弟の清水智也(佐川急便)が北海道マラソンの注目選手だった。佐川急便の練習に行ったスタッフが中野監督に聞くと「初マラソンだが同僚の山本もしっかり練習できている」と話していたという。■選手名簿に中央大学出身であること、学生駅伝で活躍したこと、箱根は5区を担当していたこと、それとハーフマラソンのベスト記録などを書き込んだ記憶がある。■39キロすぎ、北海道大学の構内でジェンガの後方に陽炎のように映る人影、解説者の方さえ気づかなかったというが、すぐに山本亮だと分かったのは、その事前の情報のお陰だった。■夏レースで2時間12分10秒、2位デビューを果たした山本だったが、その後、頓挫、2011年北海道マラソンに久しぶりに出場した。ケガ明けではそれほど走れまいと予想していたが5位だった。ほう、力はあるなぁと感心した。

男子マラソン選考は大変2012/03/04 18:39

ロンドンの代表は、藤原新はほぼ確実だろう。あとは狙った試合で失速した堀端、川内の選考会最先着の経験を持つ選手の判断だ。世界選手権はIAAFの最高峰の大会であることなどから対戦した相手、大会のバックグラウンドなどの点から従来なら選考会の中でも評価が高めの傾向が見うけられる。テグの堀端のレースは高く評価されていい。国内の選考会を見送って結果を待つという方法もあったが、びわ湖に出場した。結果的に失速したが、先頭集団を追った結果、有力選手が背負うものと捨て身のものとの差もあるだろう。ただ、選ぶとなると、びわ湖で先着した山本、中本をどうすると言う話になりかねない。勝負の世界、選考会での結果を評価しなければスポーツのフェア精神が損なわれかねない。その点がどう判断されるのか。川内も同様。■藤原、山本、そして世界選手権出場のワールドカップメダル貢献3人の中から1人というのが妥当な線だろうが、中本はどの大会でも日本勢最先着はなく、堀端も川内も選考会で中本の後塵を拝した経験がある。・・・大変ややこしいのである。

伊東大貴3勝目2012/03/05 02:52

おいおい、すごいことやってくれちゃってますよ。女子初のワールドカップ優勝も立派だが、フィンランドのラハチで行われた男子のジャンプワールドカップで伊東大貴(雪印メグミルク)が優勝した!凄すぎないか!!シーズン3勝目だ。

美帆スマイル2012/03/05 21:24

全ての種目を滑り終え、TP(チームパシュート:団体追い抜き)の表彰台に登場した髙木美帆選手は本当に嬉しそうだった。観客に手を振り、カメラマンにひょうきんな表情をしてみせるなど喜びだけでなく、安堵の様子も現れていた。この大会は地元開催、期待に答えたいと強い気持ちを持って臨んでいたはずだ。ポスターやプログラムの表紙にも髙木美帆の写真が用いられていた。本人は口にはしないだろうが、プレッシャーというか普段とは違う雰囲気を感じていたはずだ。■初日の500m、総合に出場した選手の中では1位。1500mは5位で総合2位の好位置につけた。それは本人にしか分からないだろうが、持っているものを出し切ったとい感覚ではなかったようだ。今シーズン、重点的に取り組んでいる1500メートルで終盤、思ったように動かなくなったのも宿題を残した気分だったのだろう。それが2日目の1000メートルで今できるベストの滑りを出せた。K.エルバノバとの直接対決でアウトスタート、「同走に恵まれた」と満点はつけないが、平地での1分17秒69は素晴らしい。ジュニア世界記録保持者の意地と面目。3000メートルも最後まで力強い滑りで逆転で総合優勝に輝いた。■健闘した、ではなく、1位になったというのは本当に大きなことだと思う。これからも続く挑戦を応援したい!■日本チームは髙木美帆の個人3つ(金2つ、銅1つ)とチームパシュート(美帆、菜那、高山、樋)の銀、そして、男子500mの長谷川翼の銀の合わせて5つのメダルを獲得した。スピードスケート世界ジュニア選手権(帯広2日-4日)

2012/03/06 23:26

スピードスケートの世界ジュニア選手権、初日の女子1500メートルはハイライトの1つだった。日本のエース髙木美帆にとってはポイントとなる種目だったのだが、前日のドロー(組み合わせ抽選)で「事件」が起きた。なんと同走が同じ日本人、しかも姉の髙木菜那になったのだ。レース後、髙木美帆は組み合わせ抽選について「日本人同士になることは珍しいことではない、よく知る相手なのでレースはしやすかった」ととりたてて騒ぐことではないという姿勢だった。■姉の菜那にとってはどうだろう。勝手に想像した。バンクーバーの年、どこに行っても妹のことを聞かれた。うんざりだったろう。この大会はジュニアとはいえ国際大会。しかもこの年齢カテゴリは今大会が最後の年、それも自国開催の特別なもの、シーズンを締めくくる大会でもあり、卒業式のようなものでもある。悔いの残らぬよう、来季から始まる年齢制限のない世界での戦いに繋がるようにと、自分なりにテーマと思い入れを持って臨んでいたはずだ。少しでも余計なことを排除して、集中して戦えればと望んでいたはずが初日のドローでいきなり、それは!ということに。■レース後、記者に囲まれている姉、菜那は正直に話していたと思う。「(ドローには)やられたなと思いました」「いろいろ緊張しました」。そして「帯広開催で、この組み合わせは見る方には楽しんでいただけと思うので良かったのかなと思います」と続けた。聞いていて感心した。「中学生の頃は、妹に負けたくないと強く意識していた。でも今は違う。自分より強い人、速い人は世界に大勢いる。妹もその一人。だけれど妹だからとか、妹だけとかではなく、世界を目標にもっと頑張らなければと思うだけ」。菜那の視線は世界を見つめている。

ターコイズブルー2012/03/08 00:22

記録や優勝という結果を気にせず、世界大会の雰囲気の中で思い切り走ってきたい。練習していることの状況もチェックしたい。■イスタンブールに旅立った陸上女子短距離の福島千里選手。ネールのテーマは「特にない」と言っていたが、あれはトルコ石の色ではなかったか?春を先取りしたような明るく、軽いヘアスタイル。順調そうである。■世界室内陸上は9日、トルコ・イスタンブールで開幕。福島が出場する女子60メートルは10日に予選、11日に準決勝、決勝。キャンベル・ブラウン(ジャマイカ)らもエントリーしている。

室内陸上2012/03/08 11:37

室内陸上は冬から春にかけて行われる。欧米では特に盛ん。その世界チャンピオンを決める室内陸上の世界選手権は1987年に始まり、2年に1度行われている。1999年には日本でも開催された(群馬・前橋)。1997年の男子400mで苅部俊二が銅メダルを獲得している。■参加選手は標準記録を突破した選手およびIAAFの招待。今回福島千里選手が出場する女子60メートルの参加標準記録は2月20日までに7秒35。または2011年に屋外100mで11秒25を突破している選手(1国1名)。福島は6月の布勢スプリント第1レース、及び10月の国体成年女子100m決勝で11秒24をマークしていることで参加資格を得た。■女子60メートルの日本記録は伊藤佳奈恵選手が1992年に大阪で記録した7秒40。伊藤選手は福島を指導する中村宏之監督が育てた名スプリンターの一人。当時、日本でも室内陸上がテレビ放送されていた。■室内陸上の思い出。私の記憶が間違っていなければ、30年以上前、アメリカの柑橘類生産者販売協同組合の冠のついて室内陸上のシリーズをテレビ朝日が放送していた。スティーブ・オベット(英)、セバスチャン・コー(英)、スティーブ・スコット(米)らが登場し、史上最も中距離が盛り上がる時代の1つになるのだが、室内ではイーモン・コグラン(アイルランド)がマイル連戦連勝の活躍で話題を独占していた。

録画鑑賞2012/03/08 14:09

やっと落ち着いて、録画しておいた「びわ湖毎日マラソン」を見た。結果が分かっているからなのかもしれないが、堀端は始めからがガチガチに力が入っている。これではスタミナ切れを起こすのも分かる。大一番での失速は痛い。メディアでは堀端のロンドンは遠のいたという論調だ。本当にそうだろうか。取材をしていないし、裏付けもないのだが、私的な感触としては堀端代表の目は消えていないと思っている。それは世界選手権の入賞。ただ、関係者はびわ湖終了時でその点を言及できない事情がある。それは、まだ残っている女子の選考レースに予断を与えかねないからだ。名古屋ウィイメンズマラソンには世界選手権女子最先着の赤羽有紀子が出場する。勝負を目前に控えている者たちがいるのに影響を与えかねない論評はしないだろうから。■ただ、男女の決定的な違いがある。女子は選考会の「優勝者」が現状で2人、場合によっては名古屋で3人となるのに対し、男子は選考会優勝者「なし」だった点。女子は選考会で「優勝する」という点も重要な判断材料になってくる。■男子有力候補に話をもどす。「世界と戦える選手」が4つの選考会で見えてきたのか?「戦えない」のなら3枠使うこともあるまい。「該当者なし」の選択もある。未来につながる、可能性にかけるという意味では大型ランナーの堀端やスピードのある前田を推すこともあるうるだろう。■日本の選考方法は戦略的な要素も取り入れている。マスコミ対応は頭を悩ます大きな課題だ。平常心でいることが難しい五輪。マスコミ攻勢の矛先を中心選手からそらす狙いで話題性の高い選手を選ぶこともまったくないわけではない。そうすれば川内の目もでてくる。まずないと思うが。■それより、地道に活動してきたチームや選手を評価しないと陸上界そのものが崩壊しかねない。その点を考えれば中本の「ザ・地道」が評価される可能性はある。地味でも頑張れば報われるというものを選手や指導者に示さなければなるまい。それだけではない、不況下、運動部支援撤退も多い中、ギリギリの状況で存続させている実業団チームの窮状に救いとなる材料もほしい。