マラソンに光明2013/08/15 15:40

モスクワで行われている世界陸上選手権の女子マラソンで福士加代子(ワコール)が銅メダルに輝いた。高い能力を持ちながらこれまでマラソンでは辛い経験を重ねてきた。それだけにマラソンファンとしても感激もひとしおだ。◆福士は世界標準のトラックランナー。マラソンでもスピード優先でカッ飛ばし、最後はスローダウンという展開が多い。男子の早田俊幸や高橋健一ら速いが、終盤、抑えが効かないタイプかとも想像し、耐久型の夏のマラソンでは苦戦も予想していたが、予想に反して、粘り強いレースで今大会初、五輪、世界選手権を通じて2009年の尾崎好美以来のメダルをつかみ取ってみせた。◆考えてもみれば、高温多湿の日本選手権やアジア大会、8月の世界選手権でこれまで数日の間に1万メートル2本、5千メートル2本などをこなしてきた選手だ(最近は1発決勝が多いが以前は1万も2ラウンド制だった)。慎重にかつ冷静に取り組めば、これだけの結果を出せるのは十分予測できたのかもしれない。◆昨年のロンドン五輪、競泳や女子サッカーなどとは対象的に日本の陸上陣は期待を裏切る結果に終わっていた。女子マラソンに関して言えば、北京、ロンドンと続けて入賞を逃し「惨敗」などとも評された。陸連も日本代表派遣方法など厳しい対応を迫られた。福士のマラソンキャリアにおける輝きだけでなく、復活を目指す日本女子マラソンにとっても光明を、希望をもたらすものだと思う。