2008北海道マラソン2013/08/20 02:07

5年前だ。北京五輪閉幕の1週後に行われた2008北海道マラソン。優勝は男子が高見沢勝、女子は佐伯由香里だった。そして、男女それぞれ2位の選手を記しておこう。男子が中本健太郎。女子、新谷仁美である。2人ともマラソン2回目だった。このあとベルリンの世界選手権代表となる清水将也、箱根山登りでならした今井正人らが出場していた。◆この年、男子移動車から中継を担当した。ゴール後、中継車を降りて会見場に行く。中本健太郎から少しだけ話を聞いた。静かな男だった。◆思えばここ数年、テレビのマラソン中継は茨の道を進んでいた。瀬古、宗兄弟が活躍した70、80年代、有森裕子、安部友恵、浅利純子、山本佳子、谷川真理、鈴木博美、高橋尚子、渋井陽子、野口みずきら女子のスター選手が次々登場した90年代から2000年頃、テレビのマラソン人気は凄まじかった。◆かつて民放テレビがマラソン中継をやるのは稀だった。宗茂さんが、2時間9分5秒6の当時の世界歴代2位の記録を出した別府大分マラソンは、NHKのラジオでの放送だったと思う。今ではテレビ朝日系で放送されている福岡もショーター、ロジャース、瀬古利彦、中山竹通の頃はNHKが放送していた。フジテレビが中継した瀬古、イカンガー、ゴメス、宗らが赤坂見附で激闘を演じた東京マラソンの頃からが民放のマラソン中継の始まりだろう。◆他の多くのスポーツもそうだが、近年、オリンピックなど日本代表試合への関心は高いが、それ以外はイマイチという傾向がある。野球もWBCなどはいいがレギュラーシーズン中のプロ野球は低調。サッカーはもっと顕著で代表戦はいいが、Jリーグの試合は殆ど中継で放送されなくなってきている。◆競技によってはテレビ中継がなくなり、大会の歴史に幕を閉じたものまである。昨年、北海道マラソンも全国ネットがなくなり、レースの生中継もしなかった。マラソンファンでありながら、しかもマラソン中継に携われる幸せ者の私は、北の大地を走ったランナーたちの志を思い、不安と切なさを抱いた。そして成長する場、鍛える場を失くしてはならないと感じていた。夢を求め、チャレンジする場をと。多くの視聴者からマラソンが見たいというご意見をいただいた。なんとか今年、生中継が復活する。代表戦ではないが、日本を背負っていくランナーがスタートラインに並ぶ。是非、注目してほしい。中本健太郎のように粘り強く。◆25日(日)午前9時スタートの前から生中継する。

渡邊裕子2013/08/20 15:50

北海道・深川で合宿中の渡邊裕子選手。北海道マラソンのTVスタッフが取材してきた映像を見た。顔色がいい。北海道合宿の前はアメリカで高地トレーニングをこなしてきた。日に焼けた明るい表情からも好調さを伺わせる。渡邊は2012年の名古屋ウィメンズでマラソンデビュー。今年1月の大阪国際女子は2時間25分56秒で3位。日本勢では福士加代子に次ぐ2番目だった。◆2時間29分20秒でデビューし、2度目のマラソンでは大幅に自己記録を更新。普通なら話題になるはずだが、名古屋はロンドン五輪最終選考会、初マラソンで健闘しただけでは話題になりにくい。大阪はモスクワ世界選手権の選考、マラソンで失敗し続けた福士に注目が集まり、渡邊は日本人2番目で代表圏内に食い込みながら、これまた大きな話題にならなかった。◆身長151センチと小柄な渡邊。トラック、駅伝でも目立った成績はないが、小気味よいピッチで走りバテない。「暑い」のも得意だという。◆渡邊の名が話題に上がったのは今年4月のマラソン競歩モスクワ世界選手権代表発表に際してだ。日本は女子マラソンの代表を3人しか選ばなかった。世界選手権は5人出場が可能なのだが、世界と戦えるレベルかどうかを考慮し、選考は厳しいものという姿勢を示したものだった。◆もしモスクワ世界陸上代表が5人選ばれたとしたら横浜日本人トップの那須川。そして、各大会日本選手2番目の中で野口に次ぐタイムを出していた渡邊が代表入りしたのではないかというのが大方の見方だった。◆代表になれなかった悔しさはあるだろうが、渡邊は選考のことよりも、大阪を振り返り、「驚き」を口にする。夢のように思っていた日の丸が、現実味のある目標に変わったこと。名前のある選手たちに臆せず戦えたこと。それは大きな自信になった。◆8月25日。初めて夏のフルマラソンに挑む。赤羽、重友、伊藤舞、宮内宏子ら錚々たるメンバーが揃うが、ニューヒロイン誕生も十分考えられる。

記録2013/08/20 22:51

今年に入っての女子マラソン日本ベスト5は①木崎良子2:23:34②野口みずき2:24:05③福士加代子2:24:21④赤羽有紀子2:24:43⑤渡邊裕子2:25:56◆現役選手ベスト5は①野口みずき2:19:12②渋井陽子2:19:41③重友梨佐2:23:23④小崎まり2:23:30⑤木崎良子2:23:34 ※赤羽有紀子のPBは2:24:09◆北海道マラソンには、モスクワ世界選手権に出場した選手を除けば、今年のタイムランキング上位2選手が出場する。また自己ベストの比較で現役3位の重友もおり、非常に楽しみな顔ぶれだ。※世界選手権女子3人は派遣基準からの乖離というより、派遣することができなかった赤羽のタイムが境界線になったのかもしれない。