ピーキングと再現性2014/04/30 00:59

陸上競技のトラックシーズンが開幕した。100m9秒台の期待がかかる日本男子短距離陣は今、新たな段階に踏み出している。前年10秒01がでたこともあり今年の織田幹雄記念陸上も注目された。桐生は予選を10秒10。上々である。報道によると右大腿部裏(ハムか)の張りで大事をとってこの日は1本。決勝を制したのは200が本職の高瀬慧で記録は10秒13(+0.7)。これは昨年、追風参考で桐生(10秒03)、山縣(10秒04)が競り合った決勝と同等、あるいはそれ以上のものという気がする。◆今の日本男子短距離陣が「新たな段階に踏み出した」といえるのは、その眼差しが向いているところだ。それが表題に記した「ピーキングと再現性」だ。新記録は欲しい!それも「日本人初」とか「10秒の壁を突破」とか、記念すべき記録であればなおさら欲しい。しかし、彼らは目先の恍惚ではなく、その記録の真価にこだわり始めている。いわゆる「一発引っかかった」というものではなく、真の速さと強さを求めているのだ。「狙った場面で」、「繰り返し」、できるか!である。◆開幕戦は大事、ただ、それはオフにやっていたことが間違っていなかった、うまくシーズンに入っていけた、開幕ダッシュで波に乗りたいなど幾つかのチェックや希望が叶えられるかというものにすぎない。「目をつむって目一杯振ったらホームランだった」「目先の餌にとびついて火傷した」というのでは意味がない。◆おそらく、彼らがイメージしているのは世界選手権やオリンピックといった舞台で1次予選10秒1台、2次予選10秒0台、準決勝9秒台でファイナリストへというもの(組み合わせや条件で更にシビアな条件も想定)。そのためには何をどうしたら良いのか、そういうことを本気でシミュレートしているのではないだろうか。織田記念での10秒00より、五輪での10秒09予選クリアの方が価値が高いのだ。◆桐生の決勝棄権の決断、そして、高平が日本短距離陣のリーダー的存在と後継指名していた高瀬の100メートルでの快走。今年の織田陸上は記録誕生以上に価値のある大会となった。シーズンが進み、それが証明されることとなるはずだ。◆因に、男子100メートル日本記録10秒00(1998@バンコク)の伊東浩司は報徳高校時代国体400m優勝。東海大、富士通でもロングスプリント系での活躍を経て100で非アフリカ系の最高記録を叩きだした。印象にすぎないかもしれないが200が強いと100の可能性を広げる。100でも高瀬が日本短距離界の中心に踊り出て行く可能性だって大いにある。この日、桐生の棄権で決勝時、会場のムードは若干、沈んだのかもしれないが、今の日本男子短距離陣への期待が萎むものではない。4位に終わった山県、もちろん桐生その人。そして大瀬戸、ケンブリッヂや小池といった活きの良い選手たちも台頭してきている(10秒3台でもA決勝に残れないのか!)。これまで見たことのない領域まで突き進んでいく予感さえある。楽しみだ!【訂正4.30】伊東浩司インターハイは優勝は間違いでした。寺田辰朗さん、ありがとうございます。

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