マインドの継承2014/06/30 13:43

今年発足したマラソンのナショナルチーム。他の競技団体の日本代表や全日本と同様、招集されて試合に出場したり、合宿を行ったりする。日本陸連は国際大会の代表をナショナルチームのメンバーから優先的に選出していく方針だ。■通常は各所属チームでの活動となるが選手のコンディションや取り組みは陸連の強化部に集約され、日本マラソン界が目指す方向もフィードバックしていく仕組みだという。■ナショナルチームのメンバーは「代表」としての意識をもって頂を登る。今はナショナルチーム入りできていない選手たちにも、ナショナルチーム入りやナショナルチームの活動を世界を目指す道筋として具現化させようとしている。■現実的には、勝負をかけた試合への仕上げ方など画一的にはできない。個々のスキルや経験、ポテンシャルにもばらつきがある。発足、最初でもあり、これから分かっていくこともあり、1つ1つ課題をクリアしながら、進んでいくことになるだろう。■具体的な活動として「ナショナルチーム最初の合宿」がスタートする。女子は7月下旬からおよそ1ヶ月、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキ。男子は8月に釧路、9月に士別。その間、試合に出場する川内優輝やアジア大会代表は別メニューや別調整となるが代表合宿第1歩を踏み出す。■2時間7分台の記録を持ちロンドン五輪の代表ながらナショナルチーム入りを逃した藤原新は、独自の道を進む意向を示した訳でもなく、ナショナルチーム入りへの意欲もある。「ナショナルチーム入りの基準をクリアできていない悔しさがある、メンバー入りできていない、この悔しさは前向きなものだし、覆したいという思いがある。『リオに向けて面白いストーリーが描けるのではないか』と自分では密かに楽しみにしている」(5月)と復活をめざすモチベーションとなっていることを伺わせる発言をしていた。■初マラソンだった1月の大阪で2時間26分46秒をマークし、アジア大会の候補にも名前が上がった22歳の前田彩里(まえだ・さいり)は合宿参加について「少し怖い」(6月)と未知の世界に飛び込む、本音を隠さなかったが、それはナショナルチームの「高い志」と日本マラソン復活という重いミッションを認識しているからだろう。■残念ながら君原、円谷、谷口、森下、有森、高橋といった時代のランナーたちと今の選手たちとでは立っている場所、基礎的な力などスタート地点から、まだまだ大きな開きがある。ある関係者は野口みずきの存在を口にする。現役続行を宣言しナショナルチームにも入った五輪金メダリスト。その姿を直に見て、同じ時間を過ごす。「マインドの継承」というのが大きな意味があるのではないかと期待をよせている。■ナショナルチーム最初の夏がやってくる。