マラソン選考 その12015/03/23 01:46

今夏北京で行われる陸上の世界選手権。マラソンの代表選考が物議を醸している。選考会の優勝者が代表に選ばれず、スポーツジャーナリストの増田明美さんが会見で問い質したのはニュースにもなった。私も横浜で優勝した選手が選ばれるものだと思い込んでいた。だから田中智美の名が呼ばれなかったときは驚いたし、配布された選手リストを何度も見返した。ケガなど不測の事態があり、田中智美陣営から出場辞退などの申し出があったのだろうかと心配したほどだったが、そうではないという。■競技において「勝利」に勝る価値はあるのか?そんなものはない。ただし、選考となると話は別。今回の選考について想像を巡らせてみる。■一番、簡単な説明は、「選考のテープルに上がった男子10人、女子9人の中からナショナルチーム(NT)の者を選考会でのタイム順に上から選んだ。NTメンバーからは2人しか選考のテーブルに上がらなかった男子はNT以外の選手のうち選考会でのタイム最上位選手を加えた」。気象条件や展開によってマラソンのタイムは左右されるが、今回は単純な数字で決めた・・・というのであれば、3/11発表の6人になる。■「そんなことしたら記録の出やすい大会に選手が偏るのでは」、あるいは「内容を吟味したんじゃないの?」「記録で決めると周知した?」と反論があるかもしれない。その点については、そうかもしれないが、ただ今回の選考各レースで、高いレベルの記録を出そうという意欲はあったのか?展開などから記録が低調になることもあるが、記録を捨てても勝つことに徹したものだったのか?と問うたとき、その答えはどうだろう。■今回の選考結果について、説明に苦慮しているように映ったのは「落とした理由」ではなく「代表にした理由」の方だ。女子の前田彩里を除けば、とても世界と戦えるレベルではない。本番が夏のレースという点を加味して、今井の入賞が期待できるくらいだろう。代表入り目標タイムに掲げた男子2時間6分30秒、女子2時間22分30秒という記録は派遣最低限の条件となる派遣記録ではないが、目標記録を突破していないのであれば派遣すべきではないという厳しい見解もある。競泳やスピードスケート、陸上競技でもマラソン以外は派遣記録を設け、これをクリアしなければ選考会で優勝しても派遣されない。以前、派遣する最低限の条件としての記録(男子2時間9分29秒、女子2時間25分59秒)を設けていたことがあった。今回、選考条件に含まれていないが、感覚的にこれくらいはクリアしてくれないと話にならない。高い目標値に変えたのもより志を高くする狙いであったはずだ。3人連れて行くべきか、佐野の9分台は、低体温症を起こすよう悪条件だったとはいえ11分かかったNTメンバーを逆転するものではなかったかといった点こそ議論される点にも思う。■今回の選考には高い志があると信じたい。想像膨らむマラソン選考に関するお話は、<リオへ向け選考途中><格付け><育成型選考><チームジャパンとして強くなる>といった視点で続く・・・(予定)。