北風沙織〜涙そして笑顔2016/09/10 19:34

10日、厚別公園競技場にハイテクAC杯レディース陸上を見に行ってきた。目的は北風沙織の厚別ラストランを見届けるため。■北風は北海道江別市出身(父親の赴任先の関係で生まれたのは釧路)、全国中学、高校総体(IH)、日本インカレと中学、高校、大学で日本一に輝いた。高校3年時はIHと合わせ日本ジュニア、国体と高校三冠を達成している。■北海道ハイテクACに進んでからも06アジア大会、07世界選手権の日本代表に選出。151センチと小柄な体格ながら脚力強化と父親から伝授された高速ピッチで北海道から日本のトップ、そして世界に挑みつづけた。■アスリート北風を語る上では、いくつものタイトルを獲得し、日本代表にもなった07年までよりも、2008年から今日までの歩みこそ特筆すべき点だと思う。■脛を疲労骨折し、痛みに耐えながら北京に挑んだ08年。目標に届かずロンドンを目指し手術を受けたがうまくいかず1度ですむはずだった治療が2度、3度と手術台に横になるはめになった。もう以前のようには走れないという失望感に打ち勝ち、できることをやろうと、2012年のロンドンを目指した。■リレーで2度日本記録を更新、追い風ながら手術前に作った自己記録にも迫ることもできた。ただ、復帰後もケガや不調が次々に襲ってきた。ロンドンの選考の日本選手権は冷たい雨の予選、力を発揮できないまま終わってしまった。日本女子リレーの五輪参加を実現させる記録を導いた北風だったが五輪のトラックに立つことはできなかった。■ロンドンまでと決めていた北風だったが中村監督の勧め、励ましもあり、現役続行、その間、結婚もし、ミセスとして世界リレーやアジア選手権などで日の丸をつけた。■「引退」という言葉は使わないが、一線で走るのは今シーズン限り。6月の日本選手権が終わったあとには中村監督とも相談し区切りをつけることを決めた。7月の南部陸上。厚別で走るのは今日が最後かな?と聞いた。思い出が詰まった南部陸上、厚別で少し涙を浮かべた北風は「ハイテク杯でも走ります」と言ってすぐにケラケラと「笑顔」を見せた。■あれから2ヶ月。厚別ラストラン。「一線で世界を目指して走るのは一区切りですね、でも、また何年かしてハイテク杯で走っているかも」。また少し涙を浮かべてケラケラと笑った。■■■北風沙織の出場予定は今月下旬の全日本実業団、そして10月の岩手国体。残り2試合。ぜひ声援を送ってほしい。