今こそ将来への戦略を②2014/02/24 00:01

ソチでの日本チームの活躍には「奇跡」や「幸運」と感じるところが大きい。もちろん、棚ぼたで栄光はありえない、奇跡や幸運は、アスリートの「不屈の魂」が呼び込んだもの。その奇跡に心打たれたし、日本を救った。ただ、日本選手団は「狙った」競技・種目では「負けた!」気がしてならない。好結果を出したものはチームジャパンが戦略的につかみ取ったものではなかったような、メダルプロジェクトは成功していなかったように思う。◆メディアを含め世論、国民はどれほど冬のスポーツ、アスリートを支えてきのだろうか。「何だよ、こんな時だけ!」「もっと勉強しろよ!」と批判を受ける場面も多い。◆個人的には、①仕分け後の五輪②冬のスポーツを育んできた地域が被災した後の最初の冬季五輪③2020年五輪ホスト国決定後の五輪という3つの視点から注目していた。◆バンクーバー五輪のシーズンでもあった2009/2010。「仕分け」が話題になった。文科省が管轄するスポーツ予算は大幅に見直された。バンクーバーは従来の予算で実施されたが、翌2010/2011から強化費は大きく削られた。◆ジャンプでいえば、ワールドカップへのステップとなるコンチネンタルカップへの派遣を取りやめた。ワールドカップ遠征も航空運賃と物価の安い海外での滞在費を勘案して、出国したら何ヶ月もヨーロッパに滞在。コーチは同行せず欧州滞在のコーチが現地で合流するなど経費を切り詰めた。◆バンクーバー後、強化体制が大きく変わったカーリングも、小笠原らの復帰、その小笠原たちが熱意を注いで実現したカーリングホールの完成など、いわば「私立」で強化環境がつくられた。話題の選手、人気選手は自力で独自スポンサーを獲得していくような形もできつつあったが、その規模や支持基盤は十分といえるものではなかった。◆今回の五輪、スポーツを、郷土を思う「心」に支えられてきた。これからの4年、そして、2020年のホスト国として、スポーツ先進国に成長することが求められる。

今こそ将来への戦略を①2014/02/23 23:20

ソチ五輪が閉幕する。日本は自国開催の長野を除き過去最高の8つのメダルを獲得した。被災地に育った羽生結弦の金。41歳の葛西紀明らの活躍でジャンプが16年ぶり、ノルディック複合が20年ぶりにメダルを獲得。スキーは新種目のフリースタイル・ハーフパイプでもメダルをとった。際立つのはスノーボードがハーフパイプとアルペンで合わせて3つのメダルを獲得した点だ。かつて「問題児扱い」、一部に「白眼視」された歴史を持つスノーボードに日本選手団は救われた。◆メダルには届かなかったが、ジャンプ女子は世界をリードする存在であったし、女子モーグル、カーリング、スピードスケートも表彰台に迫った。未勝利に終わったといえアイスホッケーの女子も開催国枠で出場した98長野とは格段に違い、自力出場を果たしたことそのものに価値があるし、世界と互角に戦えるところまでレベルアップしている。◆更にエース、メダル候補と言われた選手を襲ったアクシデントもあった。モーグルの伊藤みき、アルペンスキーの湯浅直樹はケガ。複合の渡部暁斗、ジャンプの竹内択は病に見舞われた。竹内択は本来の彼の実力からすれば物足りないものだったし、モーグルの伊藤みきはスタートラインに立てず無念はいかばかりか。◆一方で、大会1月前にインフルエンザにかかったと聞いたときは絶望的な予想をした渡部がワールドカップでの表彰台を経てノーマルヒルでメダルを獲得したのは驚きだった。葛西の腰、伊東の膝など、サポートチームの存在が活躍を支えた要因だったのだろう。スノーボードの竹内智香も一度は日本を飛び出した積んだ経験が、日本チームとの自分の心の中での和解で成果を上げた。◆とはいえ「冬のスポーツ」に対するサポート体制には不安を禁じ得ない。(続く)

ママアスリート2014/01/25 01:18

いよいよ、その日が近づいてきた。マラソンの赤羽有紀子が引退する。1月26日の大阪国際女子マラソンが競技者としての最後のレースだ。みとどけよう!

大人な五輪代表2014/01/22 02:25

ソチ五輪日本代表選手団の結団式、壮行会が20日、東京で行われた。主将が41歳、葛西紀明(スキージャンプ)、副主将が田畑真紀(スピードスケート)、そして旗手が小笠原歩(カーリング)。レジェンド、ベテラン、カーママ。年齢だけではなく、オトナな印象。◆バンクーバー五輪の特徴は、長野以降の世代の活躍。高木美帆に象徴されるように長野五輪以降に競技を始めた選手たちが選手団の中心になり、若返った印象が強かった。今回もジャンプ女子の高梨、伊藤、山田の3代表全て10代。スノーボードHPの平野が15歳、平岡が18歳。アイスホッケーFW浮田17歳、フィギュアの羽生、村上らも10代とバンクーバー以上に次の世代が台頭してきてはいるが、それ以上に「お姉様方」の逆襲。ベテランの気迫が頼もしい。年齢は関係ない。若い選手たちも、かなりしっかりしている。オトナの発言が多い。そして、同時に、年齢は重ねても少年、少女の気持ちを失っていない!こればまた素晴らしい。◆橋本団長から、挨拶をいきなり振られた小笠原のコメントもしっかりしていた。アドリブ、ムチャぶりに「強さ」を発揮した。カーリングは1試合2時間半程度。10チームが出場する五輪は9試合以上戦う。日本代表スキップが「テレビに一番長く映る」のは間違いないだろう。喜怒哀楽が顔に出る。それがファンに愛される理由のひとつ。何度も涙を見せてきた。うれし涙、感動の涙、悲しい涙、悔し涙・・・。困ったり、怒ったり、呆れたり・・・。ポーカーフェイスが良いと言われるカーリングだが、小笠原の表情は豊かだ。◆結団式、壮行会の表情はすがすがしかった。(小野寺も楽しそうにしていたなぁ)雰囲気がとてもよい。これはコンディションが良い現れだと思う。ソチが楽しみだな。

敦賀信人2013/02/17 22:07

前回のブログに書いた20歳のスキップとは敦賀信人(つるが・まこと)選手のこと。17日、日本選手権決勝敗戦後、引退の意向を表明した。「初めて口にするがこれが最後の日本選手権と決めていた。(仲間を)世界に連れて行きたかった」と涙を流した。9月の日本代表選考会には出場権があり、仲間と協議して出欠を決めるという。引退の時期は未定だが、日本のカーリングの代名詞でもある第一人者がアイスを去る。◆優勝したSC軽井沢クラブのメンバーに敦賀信人について聞くと、異口同音にカーリングを始めたきっかけであり、目標であり、成長に必要な人と称した。

20歳スキップ2013/02/17 03:12

カーリングが全国的に注目を浴びたのは1998年の長野五輪が最初だったろう。女子ではなく男子だった。日本はメダルゲームにあと一歩と健闘した。日本のスキップは20歳の青年だった。アメリカ戦で放ったスーパーショット、そして、僅か数センチで逃した勝利。思わず涙した姿にファンレターが殺到した。◆あれから15年、青年はチーム北見のスキップとして日本選手権4連覇に挑んでいる。悔しさがある。去年、日本選手権3連覇を果たし、日本代表をも手にできたと思っていた。しかし、世界選手権につながるパシフィックアジアの日本代表は改めて選考会が開催された。チーム北見のメンバーは企業チームに所属しているわけではない。スポンサーがあるわけでもない。メンバーは農業、漁業1次産業に従事。常呂の海でホタテ漁をするなど仕事をして稼いだ金で好きなカーリングにかけている。◆仕事の最盛期に行われた代表決定戦は欠場せざるを得なかった。落ち込んだ。「初めてカーリングをやめようと思った」と当時の心情を打ち明ける。そこから立ち直り、世界選手権代表選考会を兼ねたこの大会に臨んでいる。「それだけに負けられないという気持ちは強い」。◆男子カーリングは密かに熱い。SC軽井沢クラブがパシフィックアジアで銀メダルをとり、4月の世界選手権の切符を持ち帰ってきた。注目が女子にばかり注がれ話題になっていないが、五輪への可能性は女子とそれほど変わらない。そして、もうひとつ熱くしている要因の1つが札幌で結成された新チームの存在。長野オリンピック代表や女子の五輪日本代表元コーチが選手としてアイスにたっている。「戦術とメンタルが今の方がよい」、「戦術はコーチとしても求められるし、メンタルはオリンピックに2度行かせてもらい鍛えられました」。コーチの立場も、選手の立場も分かってアイスに立つと、分からなかったこと、見えなかったものにも気づくのだという。◆ソチ五輪決定日本勢第1号となった女子アイスホッケー、その競技環境の厳しさにも話題が向けらていたが、カーリング男子の心意気にもぜひエールを送ってほしい。

3連覇か下克上か2013/02/16 13:21

日本カーリング選手権は16日、予選リーグ(1次リーグ)上位4チームによるプレーオフに突入した。女子は予選リーグで3チームが6勝1敗で並んだ。勝率が同じ場合、直接対決の成績で順位を決めるが、三つ巴で序列がつかない。予選7試合各ゲーム前に行うLSD(ラストドローショット)の成績で予選リーグの順位が決まったのだが、3連覇を目指す中部電力は3位となった。◆優勝決定方式は変則トーナメントで行われる。まずプレーオフ1回戦は予選上位チームにアドバンテージを与えるべく対戦カードは予選1位2位と予選3位4位の上位同士、下位同士の組み合わせとなる。予選1位2位で勝者は決勝進出、敗者は敗者復活のチャンスが残り準決勝に回る。準決勝の相手は、予選3位4位対決で勝ち上がったチームとなる。(3位4位対決の敗者は3位決定戦に)◆今回の予選リーグの結果によって、例年注目されない、プレーオフの下位カードが俄然クローズアップされている。3連覇を狙う中部電力とジュニア日本代表の札幌国際大学。◆パシフィック・アジア選手権で銀メダルを獲得した中部電力。自分たちで勝ち取った世界選手権の出場権、自ら出場する目標をもっているが、それには選考会をかねているこの日本選手権で優勝しなければならない。3位に回ったことで、優勝には、プレーオフ1回戦、準決勝、そして決勝と1も負けず3連勝が絶対条件なのだ。◆プレーオフの相手、札幌国際大学も注目のチーム。同世代の両チームはこの大会まで実質的な対戦がない。どちらが強いか分かっていない。常呂高校時代、日本選手権2度準優勝。当時最強のチーム青森を苦しめ、バンクーバーオリンピックの候補にも挙がった。予選リーグでは中部電力に軍配が上がったが、その差は感じられなかった。ここを突破すれば、北海道のチームとの対戦。北海道選手権チャンピオンとして反撃も期待できる。◆現女王が3連覇へ意地のプレーオフ3連勝のスタートを切るか、札幌国際大の予選4位からの下克上か。まずは16日の1戦に注目だ。(午後2時開始)

感涙!小笠原2013/02/14 04:02

旧姓・小野寺、小笠原歩選手が復帰後、2度目の日本選手権で連日奮闘している。復帰、最初の日本選手権だった去年は、試合の感覚をつかめず、決めなければいけないところで決められなかったと悔いが残った。今年は、1投1投に集中し、良い緊張感の中、カーリングができているという。組み合わせを見ると、いよいよ明日から、いわゆる強豪、優勝候補と言われるチームとの戦いが続く。◆涙もろい。感激屋の小笠原。ブランクが長かったから、対戦したことのない選手たちと当たり、新鮮だと。話していると、みるみる瞳が潤んできた。対戦した相手から「トリノを見てカーリングを始めました」と打ち明けられたという。「カーリングを始めてくれて、まだまだうまくなると思うし、そうした人たちと試合ができることもうれしい」と言って言葉を詰まらせた。◆そして、「やだ、ここカットしてくださいね」と今度は泣きながら笑った。

黒サイ2013/02/09 17:24

ケニアに旅行したとき、ナクル湖で2種類の犀(サイ)を見た。白サイと黒サイ。ガイドは草の茂みの中に黒サイを見つけると、やや興奮気味に「クロサイを見られるのは珍しい」と声を上げた。シロサイは水辺の広い砂地でのんびりしていた。体は大きいが穏やかでサファリツアーでも比較的お目にかかることが多いという。対する黒サイは、体は2周りくらい小さいが獰猛で、警戒心も強く、なかなか人前には出てこないというのだ。◆お土産物店で黒光りするサイの木彫りの置物を記念に購入し帰国した。ケニアの木彫りのオブジェは黒い色がウリなのだが、帰国後、頻繁に磨いていたら白くなった。表面だけ黒く塗っていたらしい。メッキが剥げたというところか。◆カーリングの札幌国際大学のマスコットキャラクターが、クロサイ。名前は「黒サイくん」読み方はクロサイクンではなく「コクサイクン」、国際と黒犀をかけているようだ。小柄でシャープ、なかなかお目にかかれないがかなり獰猛(?)なのかもしれない。

女子大生!元祖を撃破2013/02/04 02:12

女子大生チーム、札幌国際大がカーリングの北海道選手権で優勝した。ソルトレーク、トリノに出場した小笠原歩、船山弓枝が所属する道銀フィルティウスを準決勝で。トリノ、バンクーバーに出場した本橋麻里が率いるロコ・ソラーレを決勝で対戦撃破した。トリノ五輪でカー娘。と旋風を呼んだ先輩カーラーたちを次々に破り、「女子高生チーム」だった常呂高校時代の2009年以来の北海道チャンピオンに輝いた。◆このあと、世界選手権の代表選考を兼ねた日本選手権に3年ぶりに挑む。札幌国際大学は、ジュニアの日本代表としてパシフックジュニアで優勝し、世界ジュニア選手権の出場を決めている。日本選手権では、現チャンピオンの中部電力らを相手に、ジュニアと、年齢カテゴリーのない世界選手権ダブル代表を狙う。◆競馬を担当していたころ、よく「勝負づけが済んだ」という用語を聞いた。何度も対戦し、どちらが強いかはっきりしているケースで使う。◆札幌国際大は1年目、ジュニアやユニバシアードといった世代別の大会を目指したため、日本選手権に出場していなかった。中部電力とは「ガチ」で対戦したことがない、競馬用語を使えばまだ「勝負付けはできていない」。同世代の中部電力、スキップ藤澤五月とは、高校のとき以来、直接対決の機会がなかった。その分、直接対決の待つ本番、日本選手権への気持ちは強い。◆男子もPACC代表決定戦に出場していなかったチーム北見(旧チーム常呂)とチーム札幌が北海道チャンピオンを争った。日本選手権、面白くなりそうだ。【改稿】