女子ジャンプの注目点2013/08/04 02:42

3日に札幌で行われたノルディックスキーのサマージャンプ。岡部孝信が優勝した。今年6月に全日本はソチ五輪のジャンプ男子代表を5人と明示した。そして、サマーグランプリ、ワールドカップでの上位成績で決めると・・・。その時、私は心の中で、「遠征にいけないメンバーにはチャンスがないということか」とつぶやき、岡部孝信の顔を思い浮かべた。もうおよそ20年に渡って言い続けているが、彼のニックネームは「逆転の岡部」。その異名の由来はまたのちのち書いていくとして、彼の挑む心は萎えていない。5度目の五輪代表へ逆転劇があるかもしれないぞ。◆さて、タイトルの「女子ジャンプの注目点」だが、きょう書くのは「高梨沙羅」でも、3日の試合で高梨に勝った「伊藤有希」でもない。すでに注目されているもの。高梨だけではなく伊藤有希だって皆、知ってるよね!今年2月のワールドカップ札幌大会2日目。伊藤有希は飛距離点と飛型点では上位に入っていた。ウインドファクター(風によってポイントが加減)で11位に止まったが、ワールドカップができる前、当時の女子世界最高カテゴリーの試合で勝ったこもとある。実力者、10代ダブルエースなのである。◆私が注目しているのは、その次のポジション。今のままでは世界に出て行っても、どのくらいできるか分からない、ここは埋めておきたい。心理の壁というものがある。抜け出してしまうと、返って楽というのがある。境界線上に立っていると、見えない何かに気づかぬうちに締め付けられて来る。そしたものにも打ち勝っていかないといけない。やれば出来る!はず

朝日三望台シャンツェ2013/07/17 15:59

スキーのサマージャンプ国内開幕戦が7月14日、士別市朝日町で行われた。ソチシーズンの夏開幕戦、女子の優勝は高梨沙羅選手だったので多くのニュースで大会の結果を目にした人も多いはず。男子は清水礼留飛(雪印メグミルク)が1回目トップの小林潤志郎(東海大)を逆転、世界選手権男女混合団体金メダリストの伊東大貴(雪印メグミルク)らを抑え優勝した。少年組の優勝は佐藤幸椰(札幌日大高)だった。◆会場の三望台シャンツェはミディアムヒルとスモールヒルが並ぶツインヒル。ミディアムはK=60、HS=68というプロフィール。2008年、北海道文化放送が制作放送したドキュメンタリー「バッケンレコードを越えて」に携わった私には、このジャンプ台に特別な思いがある。◆オリンピック代表を目指しながら、シーズン開幕直前の海外合宿でアクシデントに見舞われた金子祐介さん。ジャンプには滅多に起きない大ケガをする。一命はとりとめたが、社会生活への復帰も危ぶまれた。多くの人の支えがあり金子さんは失望のどん底から復活を果たす。番組は「共に生きる」をテーマに人生の苦難を越えていく金子さんとその妻ひとみさんの姿を放送した。◆2006年7月26日、金子さん、ひとみさん、そして、金子さんの両親、妹さんたちがこの三望台シャンツェにいた。金子さんが、ケガ後初めてジャンプを飛ぶ・・・。家族は早朝札幌を出て道北の小さなジャンプ台に来たのだった。◆この初飛びの様子、そして、金子さんに駆け寄るひとみさんの姿は、「バッケンレコードを越えて」ではもちろん、多くの番組で紹介された。出たことのないような低いゲートから出た金子さん。スタート地点には監督の菅野範弘さん、カンテ脇には父親の茂さん、ブレーキングトラックの脇には母、葉子さん、妹の真弓さん、コーチの須田健仁さん、もちろんひとみさん。練習中の多くの選手たちも見守っていた。飛距離は小さな台のK点にも届かなかったが、ほんとに大きな大きなジャンプだった。撮影したのはひとみさん、真弓さんもデジタルカメラのムービー機能を使いこの大きなジャンプを撮っていた。◆14日の試合を取材することになった私はこの感慨のジャンプ台を訪れる機会を得た。スタート地点から朝日町の町並みや上士別の方も眺めた。そして、思い出したことが、あった。ひとみさんが撮影していたのは、金子さんの復活ジャンプだけではなかった。オレンジのワンピース、銀色のヘルメットをがぶりスモールヒルで練習していた小さな女の子もビデオカメラにおさめていた。あの復活ジャンプの日、同じ場所に、当時9歳の高梨もいたのか・・・、しかもひとみさんは、その姿を撮影していたんだと。「奇跡は思いの積み重ね」、ドラマ「バッケンレコードを超えて」の中にでてくる私の好きなセリフの1つだ。

ジャンプ男女合同合宿2013/06/29 02:14

ソチ五輪シーズンの夏季トレーニングが本格化 全日本合宿には伊東大貴、竹内択、高梨沙羅といった男女40選手が参加。男女合同合宿は全日本では初。五輪新種目の女子は高梨が昨季W杯総合1位もあって注目度も高い。合宿会場の宮の森は1972年の札幌オリンピックで純ジャンプ70m級メダル独占の地。2013.06.28 @Miyanomori SAPPORO

鹿角花輪ジャンプ競技場2013/06/04 01:46

スポーツの取材をしていると、選手たちがいろいろな場所へ連れて行ってくれる。2010年、当時中学3年だった高木美帆選手がオリンピックの代表になった。これは取材しないわけにはいかないだろうと、カナダ・バンクーバーに行く機会を得た。◆ジャンプを長く担当していたので、バンクーバー五輪ではウィスラーにも行った。そこでテストジャンパーをしていた田中温子を見た。解説の小野学さんはかなりやせてらして、高い放送席に上がるのに、実況担当アナウンサーが綱を巻いて、サポートしていた。◆1年半後、田中にインタビューしたのが、秋田県の花輪ジャンプ場だった。国内の様々なジャンプ台に行った。秋田県鹿角市にあるこのジャンプ台は岩手、青森との県境に近く、アクセスの手段は秋田市内からばりではない。田中にインタビューした2011年は盛岡から入った。研修宿泊棟や体育館、陸上競技場など運動施設が整っている。管理を東京美装がやっており、去年引退した小山内君は今、そこに勤めているのではなかったか。行っていれば顔をみることもできたのかな。◆このジャンプ台、2007年2月にも行っている。わか杉国体が行われていた。大けがから復帰した金子選手を取材するためだった。その時は夜行列車で函館経由で大館へ。そこからバスで鹿角に行った。後に金子選手の妻となるひとみさんら小さな応援団はマイカーでフェリーを利用して秋田国体にきていた。◆復帰最初のサマージャンプで金子選手が優勝したのもこのジャンプ台だったが、雪上シーズンでの復帰優勝も鹿角だった。そのとき、金子選手はテレマークを入れなかったので、一戸選手に負けたと思ったらしく、はじめ不機嫌そうだったが、優勝であると確認すると、応援にきていたひとみさんのもとへ駆けていく。この場面を撮影した映像はさまざまな番組で放送された。◆2007年のわか杉国体には、成年Aに長野から竹内択、北海道から湯本史寿が出場。少年組(高校生)は栃本、原田、鈴木と北海道勢が表彰台を独占した。成年Cというのがあり、その優勝は東京の松井直也だった。・・・トリノ翌年のこと、あれから6年以上、歳月は流れている。

スキー全日本新体制始動2013/05/29 22:04

29日に開かれた全日本スキー連盟の理事会で新体制が承認された。ソチ五輪シーズンが正式にスタートした。ナショナルチームはジャンプ、ノルディック複合、クロスカントリー、アルペン、フリースタイル、スノーボード合わせて80人。ランク最上位の特Aは高梨沙羅(ジャンプ)、渡部暁斗(複合)、伊藤みき(フリースタイル・モーグル)、小野塚彩那(フリースタイル・ハーフパイプ)の4選手。ソチ新種目のジャンプ女子、ハーフパイプスキーは「新鮮さ」もあり期待感は高まる。◆選手以外にも話題は多い。ジャンプチームのコーチに山田いずみさんが加わった。全日本チームのジャンプでは初の女性コーチ誕生だ。選手時代同様、パイオニアとして女子ジャンプの新たな歴史を切り開く。ジャンプ女子のエース高梨にとっても新所属先同様、力強いサポートになるに違いない。

シュリーレンツァウアー2013/03/23 14:20

スキージャンプ界にとって2012/2013は歴史的なシーズンとなった。それはグレゴア・シュリーレンツァウアー(SCHLIERENZAUER , Gregor ; AUT)の存在と達成した快挙にある。グレゴアは1990年1月7日、インスブルック出身の23歳。2006年の3月12日のオスロ・ホルメンコーレンでワールドカップデビュー。翌シーズンのW杯3試合目(自身2試合目、通算3試合目)で初の表彰台。それもいきなりのセンター。初表彰台が初優勝だった。そこから勝に勝って今シーズン遂に、マッチ・ニッカネン(NYKAENEN , Matti ; FIN)の持っていた通算最多勝利46勝を塗り替えてしまった。ニッカネンといえばジャンプ界の「神」的存在。伝説を超えたグレゴアは22日のプラニツァ(スロベニア)で節目の50勝に到達した。◆来季はオリンピックシーズン、初出場だった2010年バンクーバーは団体で金メダルを獲得したが個人はラージ、ノーマルとも銅メダル。世界選手権でも個人金メダルは2年前のオスロのラージ1個だけ。先日のイタリアでもノーマル2位、ラージは8位だった。21世紀伝説のジャンパーは五輪でも伝説をつくることになるのか今から期待が高まる。

着地姿勢2013/03/19 11:03

圧倒的な飛距離で他を圧倒する!これはジャンプ競技の醍醐味です。原田雅彦も、ディーター・トーマやスベン・ハンナバルト(ドイツ)もランディングのことをとやかく言われました。しかし、次元の違う飛行曲線、豪快な飛距離がファンの心を打ちました。もちろん勝負ですから、順位、成績にこだわり、(飛型、マティリアル、ルール変更への対応など)、勝つための要素課題は徹底的に追求すべきです。それでも私に言わせれば、そんなものクソくらえです。◆個性が失われたら面白くもなんともありません。思い切りやる、楽しく飛ぶ、遠くに飛ぶことを目指す・・・そうした自分のジャンプスタイルをまずは貫くことが大切です。負けても良いと思っている訳ではありません、自分のスタイルを貫いた上で、課題もクリアしていく、根幹が大切で、そこから伸びる枝葉に意識を奪われ、大切なことを見失わないようにと願うものです。◆転倒しても勝っちゃった!計測不能で飛距離点が出ない〜上川町出身のジャンパーは数々の伝説を残しました。◆飛距離で上回りながら飛型点で劣ったとか、ゲートを下げてゲートファクターで勝てとか、テレマークとか、気にすることはありません!というのが一ファンの勝手な思いです。◆少し思うところがあり、高梨沙羅選手をブログの題材にするのはやめます。この回が着地点です。飛型点はマイナス2・5〜3点くらいでしょうか、いやもっと減点されても結構です。

ファイナル16日2013/03/16 00:43

16日に行われるスキージャンプのシーズンファイナル大倉山ナイター。ぜひ見に行ってください。遠藤秀治選手もラストだそうです。「悔しさよりやり切った気持ちの方が強い」と話していましたが、やはり、最後の試合になってみないと分からないとも。感慨がありますね。兄の遠藤悠介さんも五輪前年の引退だったな。ドラマ「バッケンレコードを超えて」では大役をつとめてくれました。お世話になりました。

シーズンファイナル2013/03/15 01:14

スキージャンプの国内最終戦。伊藤杯ナイター。好きな大会の1つ。引退セレモニーも行われる。今年は16日(土)に行われる。◆雪印メグミルクのホームページによると我が母校、明治大学出身の遠藤友晃選手もこれが最後だという。ああ、今年はファイナルナイターに行けない。ラストジャンプを見ることはできないが、君がUHB杯で若い番号ながら優勝争いをしたことを僕は忘れないよ。

男子高校生にも注目2013/03/03 21:00

高梨沙羅選手の凱旋2連勝に注目が集まった宮様国際スキーのジャンプ競技。確かに沙羅ちゃんはスゴかった!しかし、見逃していけないのが男子の佐藤幸椰(札幌日大高2年)。こちらもノーマル、ラージの2冠を達成した。少年組限定ではない、社会人、学生をも合わせてもトップの成績を上げたのだ。世界選手権メンバー不在とはいえ、田仲翔大、小林潤志郎、岡部孝信、伊藤謙司郎、作山憲斗といったナショナルチームの錚々たるメンバーを抑えたのだ。◆佐藤幸椰は中学時代から同世代の中では注目を集める存在だった。昨年はユースオリンピックで銅メダルを獲得している。しかし、世代を越えた争いとなると力の差は歴然。大人たちを驚かすことはなかなかできなかった。◆今年、1月、1対1の対決方式の大会で葛西紀明選手と対戦した。この経験が大きな転機となった。力の差は感じたが、大いに刺激になった。世界ジュニアではまだ力を出すことはできなったが、助走路でのヒザの角度を修正するフォーム改造に取り組んだ。「ヒザがもどる」というアプローチの傾斜が変わるところでヒザの角度が変わってしまい、力を逃がしてしまう欠点を修正した。今回の宮様2冠は修正が身に付いたことを証明する形となった。◆「ソチ代表争いに間に合うと思うか」という質問に「チャンスがあれば」と意欲を見せる。おそらく選考の材料となるのはワールドカップのランキング。佐藤はまず、その舞台に立つための資格をとらないといけない。まずはコンチネンタルカップなどでFISポイント獲得を目指すこととなる。夏の大会などでポイントをとれば、一気に選考のテーブルを乗る可能性もあるが、期限、ルート的にはギリギリの線だが楽しみだ。◆葛西、岡部というベテラン、世界選手権団体1番手で大ジャンプをした清水礼留飛といった新戦力の台頭。もちろん伊東、竹内のダブルエース。男子ジャンプ陣も大いに期待を持てる兆しに溢れている。