シンプルだが繊細、奥深い2010/11/26 00:15

うーん、と微妙なうなり声を上げてしまった。寺田明日香が出場したアジア大会の陸上女子100mハードル。横一線の争いの中で確かに先頭に立っていた。7台目あたりでは「いった!金だ!」と歓喜を先取りしたのだが、その先に落とし穴が待っていた。勝利はそう簡単ではなかった。決定的だったのは最後の10台目。リード足がハードルに触れた。重心が前方に移行する前だけに、抜き足を引っ掛ける以上に減速のダメージがあったのではなかろうか。必死で態勢を立て直そうとしたが、ハードルを越えたあと2歩目で大きくバランスを崩した。優勝まで100分の6秒。メダルまで100分の2秒。ため息。自己ベストでも、シーズンベストでも、予選タイムでもリードしていながら、決勝の最後の最後でつかみかけたチャンスを逃した。完敗でないだけに、なんと表現したらいいのか。■アジア大会の陸上競技は25日、女子100メートルハードルのほかに北海道関係者が出場した女子200メートル、女子400mハードルなどが行われた。福島千里(幕別町出身)が100メートルに続く金で2冠。久保倉里美(旭川市出身)が銅メダルを獲得した。■福島は他を寄せ付けない走りで2冠を達成したが、芯でとらえた会心の一撃ではなかったろう。自身への挑戦という意味では少し苦しんだレースだったかな。ただ、硬くなりながら、追撃を押さえ切った、ここにも成長の証がある。力強さが加わったアジア頂点に相応しい姿だった。

福島千里!200でも金メダル/アジア大会2010/11/26 01:08

アジア大会の活躍で過去に取材した福島千里選手のVTRをライブラリーから出して見直す機会ができた。これまでオンエアしていなかった2008年5月の映像が出てきた。この年4月の織田記念で11秒36の日本タイ記録を出した直後、まだ本人は日本のトップに立ったという自覚も自信もない時のものだ。このあと6月の日本選手権、7月の南部陸上でも優勝し、北京五輪の切符を手にし、56年振りの五輪女子100メートル出場を実現するとは・・・夢にも思っていなかった様子。「自分はパッとしない人間だ、記録も順位もパッとしない、でも自分からそんなこと言ってはいけないですよね」と話している(話すペースはゆっくり)。インタビュアーが普段はどんな人なんですか?と聞くと「普通です」と答える。画面には映っていないが、聞き手の目が点になっていたのだろう、「変な答えでしたか?」と探るような笑顔に変わる。当時はカメラマンも同行せず、ディレクターがハンディカムを持参して自分でカメラをまわしながら質問するというような取材だった。日本の陸上界の歴史を変えて行く大樹が地面からやっと芽を出したばかりの頃だった。(100m11秒33、200m23秒62)