2019年 ― 2019/01/01 11:11
新年 2019年も どうぞうよろしくお願いいたします。
衝撃の幕開け ― 2019/01/02 01:31
スキージャンプのメジャー大会、ドイツ・オーストリア伝統のジャンプ週間(4 Hills Tournament)の第2戦(ドイツ・ガルミッシュパルテンキルヘン、兼W杯個人第10戦)で小林陵侑が優勝、年末のオーベルストドルフ大会に続いてジャンプ週間2連勝した。■日本選手がジャンプ週間で優勝したのは、笠谷幸生、葛西紀明、船木和喜の3人しかいなかった。小林は4人目の日本人ウイナー。1998年の船木以来、日本勢2人目の総合優勝の期待もかかる。■それにしても小林陵侑の快進撃は驚異的だ。今シーズン開幕戦で3位、2戦目でワールドカップ初優勝を果たすとここまでW杯9戦6勝3位2回7位1回。異次元の成績を刻みながらワールドカップ総合優勝争いのトップ独走中だ。■チームメートの伊藤有希は「ジャンプのことをあまりよくわからない(専門的、技術論などのことか)自分でも、他の選手と明らかに違うのがわかる、他のだれもできない、陵侑オリジナルのジャンプをしている」とその快進撃の要因を語る。「腰の進むスピードが速い」と。■チームの監督でもある葛西紀明も「呆れ」気味。「初優勝のときは嬉しくて涙が出そうになったが、勝利を重ねると『勝ちすぎじゃないか』と喜べなくなった」と冗談交じりに話す。■ジャンプ週間はこのあと舞台をオーストリアに移し4日がインスブルック、6日がビショフスホーヘン。世界のジャンプ界に新たな伝説が生まれる予感がする。
歴史的快挙へ ― 2019/01/05 01:16
小林陵侑 KOBAYASHI,Ryoyu (土屋ホーム、岩手県出身)が4日のスキージャンプW杯インスブルック大会も優勝して、今シーズン通算とも7勝目をあげた。インスブルックのヒルサイズ(HS)は130メートル。小林は1回目、このHSをはるかに越える136.5mを飛んで首位にたった。同じゲートで始まった2回目は21人が飛び終えたところで飛距離がでないこともあって一旦ゲートが上がった。普通、1回目でヒルサイズを6メートルも超えるジャンプが出たらゲートは下がるものだが、同じゲートでスタートしたばかりか、途中で2段も上がったのだ。小林陵侑にとっては殺人的設定だ。しかも飛びすぎる要素でもある向かい風が吹いている。ゲートが上がって3人目のカミラ・ストッフ(ポーランド、五輪金メダリスト)が131メートルとヒルサイズ越えをしてみせると、ジュリー(審判団)は再びゲートを下げる、それでも1本目で7メートルもの差をつけたクラフトが130.5m。インスブルックのブレーキングトラックはすり鉢状に受けている。どのジャンプ台もヒルサイズまでは安全に着地できるとされているが、その先まで飛んでしまうと、着地は難しくなる。インスブルックは尚更だ。宮平秀治ら日本コーチ陣はゲートを下げる判断をした。W杯、世界選手権、オリンピックなどで導入されているゲートファークター。助走スピードが落ちる低いゲートからスタートすると加点される制度だが、ジュリーの判断でなくコーチリクエストの場合、加点はされない(※注&訂正1)。助走スピードが落ち、飛距離が伸びなくなる。ゲートナンバーはO(ゼロ)。それでも「今、世界で最高のジャンパー」と評されるまでになった陵侑は、見事に2回目最長タイの131メートルを飛んでみせる。ストッフよりも3段も下のゲートからだ。若干のばらつき、乱れはあったが、着地でテレマーク姿勢も入れる。ジャンプ週間3連勝は明らかだった。◆小林はこれでW杯4連勝、今シーズン10試合で7勝、3位2回、7位1回と圧倒的な成績で総合優勝争いでもまたリードを広げた。日本選手のW杯シーズン最多勝利は葛西紀明の6勝だが、陵侑は師匠の持つ記録をシーズン3分の1の段階で塗り替えてしまった。日本人選手のW杯通算最多勝利は同じく葛西紀明の持つ17勝(2019年1月4日現在)だが、この記録にも追いつきさそうな勢いだ。◆まさに快進撃とはこのことだ。スキー界においてはジャンプ週間(Four Hills Tournament)は特別な大会。ワールドカップ制度が生まれるずっと前からジャンパーたちはこのドイツ、オーストリアの4つのジャンプ台で誰が一番強いか競いあってきた。日本選手では1972年に笠谷幸生が3連勝(4戦目は不参加)。1998年に船木和喜が3連勝、4戦全勝は逃したが日本勢ただ1度の総合優勝を果たした。今回、小林陵侑は日本の伝説的ジャンパー、笠谷、船木に続いて3人目の3連勝を達成した。そして、4戦全勝のジャンプ週間総合優勝の期待が高まっている。ジャンプ週間4戦全勝は66年の歴史のなかで、ハンナバルト、ストッフの2人しか成し得ていない。◆ジャンプ週間最終戦は1月6日、ビショフスホーヘンで行われる。【訂正2019.01.08】訂正1)コーチリクエストでもHSの95%、インスブルックの場合は123.5mより飛べばゲートを下げた加点があり、この日4.3ポイントの加点があった。
偉業!快挙!世界最強「ジャンプ週間完全V」 ― 2019/01/07 02:58
日本の22歳が世界が驚愕する快挙をやってのけた。スキーのワールドカップ(W杯)より数十年も長い歴史を誇る欧州ジャンプ週間(Four Hills Tournament)で総合優勝を果たした。それも4戦全勝だ。▶︎ドイツ・オーストリアの4つのジャンプ台を舞台として年末年始に渡って世界最高のジャンパーを決する伝統の4大会はジャンプファンの熱狂で包まれる。その主役となったのが岩手県出身、札幌在住の小林陵侑(土屋ホーム)だ。日本人では1997-98年の船木和喜(北海道余市町出身、長野五輪個人&団体金メダリスト、現FIT)に続く2人目のジャンプ週間総合優勝となったばかりか、なんと4つの大会すべて優勝という驚くべき偉業を達成した。これは2001-2002のスベン・ハンナバルト(ドイツ)、昨シーズンのカミラ・ストッフ(ポーランド)に次ぐ史上3人目の快挙だ。▶︎4勝の勝ち方が「半端ない」。小林は今シーズンW杯初優勝を果たしばかりだが、この伝統の大会前までに4勝をあげW杯年間No1でもある総合優勝(オーバーオール)争いの首位に立っていた。世界のジャンプ関係者、ファンが今季彗星のごとく登場した極東の青年に関心の眼差しを注ぐ。総合首位の証し、イエロービブ(ゴールドゼッケン)をつけて臨む、伝統の大会。気後れし、力を出し切れずに終わることだってあったろうに、第1戦のオーベルストドルフ(2018.12.30)は1回目に138.5mのヒルサイズ(HS)越えのジャンプで首位に。2本目は伸びず薄氷の勝利ながら地元、ドイツのマルクス・アイゼンビヒラー、オーストリアのステファン・クラフトを従えて表彰台の真ん中に立った。▶︎新年1月1日のガルミシュパルテンキルへンでも1回目に首位。初戦との違いは2回目。飛距離こそ伸びていないように見えるがジャンプに不利な追い風を受けても、向かい風をもらった選手と遜色ない距離を飛び2連勝。▶︎圧巻だったのが第3戦のインスブルック。このジャンプ台のHSは130mだが、1回目に136.5メートルとHSを6メートル50も超えてしまう。その時点で2位と10ポイント以上の差をつける。そして、2回目は他の選手より1〜3段低いゲートから出て飛距離でも上回ってしまう。ゲートファクターも加わり、2位に25点以上もの差をつける圧勝。ジャンプ週間の総合優勝争いでもこの試合だけで2位の選手に40点を超える大差をつけてしまった。▶︎そして、迎えた6日の第4戦。ビショフスホーフェン。前日行われる予定だった予選が当日昼間へと変更になるハードなスケジュール。4連勝の期待が高まる異様な雰囲気、大偉業を前に尋常ではいられないであろうジャンプ週間最終選。夕方5時に始まった試合は風の影響か、最後に飛ぶ陵侑の前で、シグナルが青にならない。長い時間待たされた。静かに舞う粉雪が走路の積もる。助走スピードも若干出ていなかった。1回目は4位。陵侑がこの日までに上げたワールドカップ7つの勝利はすべて1回目トップから逃げ切ったものだった。クラフト、アイゼンビヒラーが陵侑より上位で折り返した。ジャンプ週間での総合優勝は素晴らしいが、負けて終わるのと、4戦全勝とでは大きな違いがあるだろう。だからそこ、今、世界で一番強いジャンパーの証明となる。2回目に王者の真価が問われる。そのジャンプは圧巻だった。追い風だった。最長不倒ではなかったが、それでも2回目最長の137.5メートル。飛型点も19.0と19.5が並ぶ。1本のジャンプだけで146ポイントのハイスコアを叩き出した。陵侑のあとから飛ぶ3人にもはや陵侑を凌駕する力などなかった。▶︎こうして小林陵侑KOBAYASHI,Ryoyuは船木和喜以来の日本人ジャンプ週間優勝を、史上3人目の完全優勝で飾ったのだった。▶︎ちなみにW杯総合優勝(年間優勝)争いでは現在956ポイント。2位ピオトル・ジオ(ポーランド)、3位カミラ・ストッフ(同)らに427点以上の差をつけている。個人戦は残り17試合。4位と優勝が9試合以上続くなど理論的にはまだまだ確定はしていないが、現実的には総合優勝はビッグチャンスである。今月下旬の札幌大会あたりで「当確」が点る可能性が大きい。
最近のコメント