ヒーローたちの名勝負 ― 2014/03/19 02:43
NHKで土曜の夜に放送している同名の番組。1月11日はスキージャンプの岡部孝信だった。放送の当時、「ああ」と贔屓の選手に突きつけられた現実を思い、ため息を飲み込んだのを思いだす。放送日の4日前、1月7日。ソチ五輪のジャンプ代表が発表された。その中に岡部の名はなかった。年末年始のジャンプ週間に招集された岡部。いわば五輪メンバー採用試験、そのラストチャンスだった伝統の大会で代表選出の条件を満たすことができなかった。◆シーズンインの段階で岡部の五輪代表入りは厳しい状況だった。それでもサマージャンプでFISのポイントをとり、国内スタートとなった開幕戦で優勝してみせた。滑り込みで、「逆転代表入りへ」、少ないかもしれないが「チャンスはある」と不屈の精神で挑んでいた。そんな岡部の代表入りを祈るような気持ちで声援を送る人は多かった。もしかしたらこの番組の制作者も岡部の代表入りを願って、取材し、代表発表の日の近くでの放送を考えていたのだろうか・・・と。◆金メダルを引き寄せたあのジャンプ。原田を救い、日本を救った。大スランプの中から大一番でみせた「逆転の大ジャンプ」。長野後も不利なルール変更にも挫けず復活してみせ、エースとして2006トリノに臨み、更に当時のW杯世界最年長優勝を含むシーズン10勝を上げた2008/2009季。そして日本選手団主将を勤めた2010バンクーバーと年齢を重ねても進化を続けた。腰痛などとも戦いながら、ソチも代表争いに食い込んでみせた。岡部が、そして岡部のジャンプ人生そのものが、私にとってはヒーローであり、まさに名勝負の連続だった。◆我がスキージャンプヒーロー、岡部孝信選手のラスト飛行は3月22日、札幌・大倉山で行われる伊藤杯シーズンファイナル。「コーチの話を受けたあとも変わらずトレーニングを続けている。22日も優勝を目指す」と話した岡部孝信。その勇士をまぶたに焼き付けよう。
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