ふざけていてはマラソンは走れない2008/01/27 17:28

福士は基本的にまじめなランナーだと思っている。だが、照れ隠しかもしれないが「ふざけている」「不真面目」ともとられかねない言動が見受けられるときがある。◆マラソンの記者会見。お決まりの質問で「目標タイム」というのがある。最近は、誰も答えない。理由は「レース展開や天候などによって変わるから」。そんなことは分かりきっている。気の利いた選手は「その質問の答えは日曜日の午後に出ます」などとウイットで交わす。勝負と記録を競う陸上競技では目標タイムを設定していないはずがない。答えないのはノープランというやる気のなさか、知られたくないかのどちらかだ。確かにあまり厳密に設定タイムを突き詰めず、気楽に行こうという「作戦」もある。だったら、そう答えて欲しい。その場合だって、ここまで速かったらどうしよう、ここまでスローだったどうしようと幅を持たせて考えているはずだ。◆結果が出たあとに気づいたことだが、2008年大阪国際女子マラソンの記者会見で最もまじめに対応しているように見えたのがマーラ・ヤマグチ選手だった。世界選手権では終盤失速したので、今回は30キロからをしっかり走ることをテーマにしている。記録は2時間23分、優勝経験がないので3位以内に入りたい。流暢な日本語で対応した。◆福士は終始、人を食ったような受け答えで煙に巻く。マラソン挑戦は「気が向いたから」、作戦は「監督任せ、まだ聞いていない」、未知の距離への不安は「しゃーない」など。今回の結果も「しゃーない」ということか。負け惜しみか、照れ隠しか、初マラソンは?の問いに「面白かったかも」と笑ったそうだ。道路を独占して、沿道に人が並び、景色を楽しむゆとりのあるペースでいく。確かいに楽しかったかもしれない。ただ、アスリートにとって最高の喜びは成果、積み上げてきたことへの答え、プラクティスとタクティクスの結実なのではなかろうか。◆しかし、意欲十分の加納も途中棄権。思い入れが強いとその分、ストレスも過分に受けてしまう。◆マラソンは本当に難しい。不安やストレスから逃げちゃいけない。マラソンはもっともっとオモシロいのだから。■2008大阪国際女子マラソン、優勝:マーラ・ヤマグチ(UK)2:25:10。2位森本友(天満屋)2:25:34