ラムソーRamsau2012/12/16 02:50

ノルディックスキージャンプの高梨沙羅(旭川グレースマウンテンIN校)の活躍が目覚ましい。■夏シーズン、ワールドカップと同格とされるサマーグランプリ(GP)で総合優勝(個人4試合で2勝)。当時、本人はアメリカ勢らフルメンバーの出場ではなかったと謙遜したが、国際大会の最上位カテゴリーでの総合優勝である。■そして、ウインタースポーツとしてメーンシーズンの雪上大会となって、その勢いは加速する。開幕のリレハンメル。スキージャンプのワールドカップ(W杯)は男女混合団体で開幕したが、日本は2位、表彰台スタートを切った。団体メンバーでもあった高梨は翌日の女子個人開幕戦で優勝と最高のスタートを切った。それでも「課題は残った」と自己評価は厳しい。■一旦、帰国しアプローチの課題克服に努めたという約1週間の自宅トレーニングを経て向かった五輪と同じ舞台。今月のソチ2連戦は優勝こそ逃したが、連日の表彰台。初戦はテレマーク(着地姿勢)、2戦目はタイミングのズレといった課題を口にしたようだが、オーストリアに移動して臨んだ14日のラムソーのゲームではすぐに課題を克服してみせた。(もっとも現地からのリポートなどによると、着地完了後、転んだそうだが・・・)■今季2勝目で開幕から個人4戦連続表彰台。目下、総合トップを抜け出している。W杯初代女王がオフにヒザを手術して本調子ではないとしても、たいしたものである。去年とて、ワールドカップの出場比率の成績で言えば、ヘンドリクソンに迫る内容だった。ユースオリンピックや世界ジュニアといったタイトルもとっている。当然といえば、当然の結果か。しかも、ジャンプの内容は昨季が良くて、今年は目下調整中で、いかに昨季の良い状態に近づくか・・・という段階かというのだから恐れ入る。■ただ、渡瀬コーチは、我々のはやる気持ちを抑える。ソチだ、五輪だといっても、1つ1つやっていくだけ。世界も目の色を変えてやっている。好結果がでるにこしたことはないが、即、オリンピック金メダルだ、というのは気の早い話と慎重だ。その通り、あまり遠くを見過ぎで、バタバタするのはよくない。■ところで、高梨が今季2勝目を上げた、このラムソーという土地は日本にとって縁のある場所でもある。高地で氷河のある場所もあり、夏見円や石田正子らクロスカントリーチームが夏、秋のキャンプ地としている。ジャパンコンバインドチームもたびたびトレーニングキャンプを行う。■ジャンプファンにとって印象深いのは1999年の世界選手権だろう。宮平秀治が個人ノーマル、個人ラージ、そして団体と全種目で表彰台に立った。個人ノーマルは船木和喜、宮平秀治、原田雅彦の日本勢3人で表彰台を独占した。世界選手権の表彰台独占はオリンピックと兼ねていた1972年の札幌オリンピック以来だった。■今ではジャンプはオーストリアが圧倒的な強さを誇っているが、この頃はドイツのシュミット、ハンナバルトの活躍が目覚ましかった。団体では、ハンナバルトが転倒しながらも優勝する圧勝劇だった。この大会、地元、期待は複合のマリオ・シュテヒャー。確か、シュテヒャーはオリンピックか、世界選手権でジャンプの団体メンバーにも入ったのではなかったか・・・。それほどジャンプに秀でていた複合選手だった。■小林潤志郎、清水礼留飛もジュニア時代は複合をやっていた。体の強さというのも「バトル」には必要になるのかもしれない。■高梨優勝の地、ラウムソーからブログの内容は転々とまとまりもなく広がってしまったが、なにかと夢想している、「南無夢想」なり。

桐生祥秀2012/12/16 03:13

先日、日本陸連の年間表彰、アスレティック・アワードに行ってきた。出席するのは初めてだった。2007年から始まったこの表彰式、今回で6回目だそうである。ニュース映像や各社報道、上司の話を通じて知ってはいたが、格式を感じる席であった。■既に報道されている通り、今年のアスリート・オブ・ザ・イヤー(最優秀選手)は室伏広治選手だった。色は違うがアテネ金以上に8年後のロンドンでのメダルの価値は高い。挨拶も立派であった。3.11にも触れ、ロンドンのメダルを東北に届けたいと話した。■挨拶で秀逸だったのが高平慎士選手。ロンドン五輪のリレー入賞メンバーが優秀選手賞を受賞したが、高平選手はその挨拶の中で、「まだ『個人』で受賞できていない、今後は個人で受賞できるように」と話し、「新人賞は難しいというのは自分でも分かっているつもり」とユーモアを込めたスピーチで会場を和ませた。■その新人賞は記者選出が土井杏南と山縣亮太、そして、連盟選出がディーン元気という3選手。これまでどのような人が受賞してきたのか、規約がどうなのかは分からないが、男子2選手は新人賞という感じがしなかった、それ以上というか、優秀賞相当ではないかと(実際、山縣は優秀選手賞とのW受賞)。もう、十分、陸上界の顔になっているような錯覚をしていたが、確かに顕著に飛躍したのは今季だったのだなぁとも。■一方、高校生の土井は、まさに新人賞と言う感じで、賞に相応しいとは思ったが、五輪決勝進出の山縣、ディーンと並べるのは少しかわいそうに感じたのだ。(山縣は個人では五輪日本勢最高記録と予選突破)■土井は高校生の五輪出場という明るい話題も提供してくれた。取材する側からいえば取り上げやすい。高校の制服姿で土井が式典に加わるのは花になるし、将来に希望を感じさせる2012年を象徴しているなぁ、などとも思いつつ、ならば、ユース世界最速の桐生祥秀を表彰してやればよかったのになぁと。勝手にああでもない、こうでもないなどと一人考えた夜でもあった・・・。【受賞者は次の通り】<アスリート・オブ・ザ・イヤー>室伏広治(ミズノ) <優秀選手賞>中本健太郎(安川電機)、男子4×100mR:山縣亮太(慶應義塾大学)、江里口匡史(大阪ガス)、髙平慎士(富士通)、飯塚翔太(中央大学) <新人賞>山縣亮太(慶應義塾大学)、土井杏南(埼玉栄高校)、ディーン元気(早稲田大学) <特別賞>村田機械株式会社