育成型選考方針①2013/06/21 00:32

2016年のリオデジャネイロ五輪に向け、日本陸連がマラソン代表選考の方針を打ち出した。リオまでに残された時間を最大限にいかし、強化・育成に主眼をおいた強いマラソン日本復活策。代表選手の選出方法に関してはアメリカのような一発選考とは対局にある。■なぜアメリカが1発選考か。それは国の成り立ちや人口、文化など社会背景もあり、そうせざるをえないからという側面もある。また1発選考ではないが、誰を選んでも優勝候補というようなケニア、エチオピアなどとも日本の場合、おかれている状況が違う。■選考方法を人事制度に例えるなら、問答無用で上位3人を代表に決める1発選考は「成果主義」。過去も未来も問わない1度のチャンスでの結果のみが問われ、その結果のみに報いる「結果至上主義」。非常に分かりやすい。■一方、今回、日本陸連が示した方針は、「プロセス」や「可能性」も考慮にいれる能力主義的なもの。成長や育成に主眼がおかれている。目標を掲げ、定期的に行う面談などでフィードバックし、能力を高めていくシステムだ。この人事制度の成否は、査定基準や考課者の力量にも左右される。■1発選考が分かりやすいのにも関わらず多くの国や競技で、その一発選考をやっていない。理由はいくつもあるのだろうが、そのひとつに「そもそも選考会の目的は何か」という点にある。分かりやすさのためにやっているわけではなく、問われている成果は「その先」でのものだ。■「選考会」の結果が真っすぐ反映されたとしても、その先での失敗が続くようでは意味がない。日本の陸上界においてマラソンはメダル、入賞を狙う重点種目だ。天才が現れ、日本に栄光をもたらすこともあるかもしれないが、現状では地盤沈下が激しく、誰を選んでも肝心のその先の戦いに光明を見い出せない状況になりかねない。だとしたら、突然、強い選手の出現する奇跡を待っているだけではなく、何か手を打つ必要があったのだ。【つづく】