女子ラージ2013/03/03 20:30

女子ジャンプのワールドカップ最終戦はホルメンコーレンで行われる。ノルディックスキーの聖地だ。しかもワールドカップでは唯一、初めてのラージヒルだ。出場できるのは世界ランキング30位以内の選手のみだという。2年前、世界選手権はオスロで行われた。しかし、女子ジャンプはノーマルヒル。伝統のジャンプ台とは離れた別の場所だった。伝統の地でワールドカップ総合優勝の高梨沙羅がどんなシーズン締めくくりを見せてくれるのか。◆因に大倉山(ラージヒル)で女子ジャンプが競技として初めて行われたのは2003年のUHB杯、当時はまだSAJのカレンダーにない「公開競技」だった。優勝者は葛西賀子。翌年晴れてSAJ公認となり1番スタートの小浅星子がK点越えのジャンプ!。1、2回をまとめ追い上げた山田いずみと同点2人優勝となった。◆宮様スキーでは早くから女子ジャンプを実施していた。コンチネンタル併催となり、リンジー・バーン(アメリカ)もアネッテ・サーゲン(ノルウェー)も、そしてダニエラ・イラシコ(オーストリア)も来日している。高梨紗羅の141mが記録される前日までの女子大倉山レコードはイラシコのものだった。

冷却装置2013/03/03 20:27

クーリングシステム、近く札幌にも導入されるという。ウインタースポーツの国際標準の施設となる日も近い。

クーリングシステム2013/03/03 18:40

ジャンプ界には「チャイナシンドローム」という言葉がある。炉心溶融を描いた映画とは全く違う意味で使われている。チャイナは「中国」ではなく「陶磁器(陶器)」の意味で、サマージャンプで好成績を上げた選手が雪上シーズン突入後、不振に陥るケースで使われる。不振の要因が助走の滑り、人工物の夏の助走路と雪や氷の冬季の助走路とでは滑走の感覚や難易度が変わってくる、その変化に対応できなくなってしまうもの。夏のジャンプ台の助走路は多くは陶器製であることから「陶器症候群=チャイナシンドローム」と言われるようになった。◆今年2月、札幌で行われた女子ジャンプのワールドカップ、高梨選手が、本来のジャンプを見せられなかったのは、それに似た現象ではないかと考えた。当時、札幌は気温が上がったり、下がったり、雨が降ったり、雪になったり、不安定な天気だった。アジア初戦、雪面の状態は変わり、滑り、Rのつまりなど、難しくなっているのではないか・・・と思ったのだ。特に今、ワールドカップではアプローチは冷却装置のあるレールを用いるようになっている。札幌、山形は例外として、天然の雪にカッターを入れて行われた。◆20年ほど前、オリンピック、ワールドカップで活躍した選手が帰国し、宮様に出場したのだが、国内組の選手に差をつけられてしまうということがあった。コーチに聞くと「海外はカッターを使っている」という話がでた。何のことが分からなかったが、圧雪した助走路を「カッター」と呼ばれる機械で削ってシュプールを作るのがスタンダードになっていたが、国内大会にはその施設がなく、助走路がワールドカップなどに比べて、不規則でうまく滑れなかった。ということだった。◆今年の宮様、高梨沙羅選手が、帰国し、ノーマル、ラージとも大きなジャンプを披露し、帰国2連勝した。クーリングシステムで整備されたアプローチよりも、実は今回の荒れた天候下でのジャンプは高梨選手の実力が確かなものになっていることを証明することでもあった。◆更に付け加えるならば、2011年の女子の大倉レコードのゲートを調べてみたら、32番ゲートだった。本日(3日)、136メートルを飛んだ1回目のゲートは26番。風などのコンディションも違うだろうが、2011年より6段、3メートルも下から出ている。同じゲートから出ていたらという仮定を、大倉山のゲートファクターをもとに換算すると、151メートルに相当する(ゲート1メートルで9点。3メートル下なので27点差。この27点を飛距離に換算すると15メートルとなる)。雪面がめまぐるしく変わるコンディション、低いゲート、悪天候で大ジャンプ。高梨は本当に、しかも桁違いに強くなっている。

16歳 高梨沙羅2013/03/02 01:03

スキージャンプの高梨沙羅を見ていて感じることは、「健気(けなげ)」。そして、ジャンプのこと、殊更、「女子ジャンプ」のことを一生懸命考えているなということ。◆ワールドカップ総合優勝を早々と決めた高梨だが、先月、地元北海道で行われたW杯札幌大会では、こともあろうに、今季最悪の12位と5位。大会前、「地元北海道の人に喜んでもらえるように」と繰り返しインタビューに応えていたのだが、試合では表情から笑顔が消えた。ミックスゾーン(取材エリア)で、いつものように、少ない言葉ながら精一杯、記者たちの質問に応えようとしていた高梨。しかし、言葉を失い、やっと「自分でもよくわからない」「早く本来の自分をとりもどしたい」となんとか言葉をつなげた。◆世界選手権、個人銀。サラ・ヘンドリクソンとのハイレベルな争いの末、優勝はならなかったが、高梨の表情は清々しかった。「調子が悪く、不安な気持ちだったが、本番では調子をとりもどし、ベストを尽くすことができたから」とその表情の意味を教えてくれた。2日後、ミックス団体で金メダルに輝き、高梨の心からの笑顔が弾けた。◆W杯総合優勝、世界最高レベル大会でもメダルを獲得した高梨は、帰国後の大会参加について聞かれ「名前が違っていてもどの試合も同じように大事」と「どの大会も大切で1つ1つ目の前の試合に集中して臨む。やるべきことをキッチリやる」という貫く姿勢をみせていた。ワールドカップでなくても、世界選手権でなくても、自分のジャンプと向き合いベストを求める。「やるべきことをきっちりやる」ことを目指しつづけている。◆宮様ノーマルで優勝した高梨は、宮の森で飛んだことを聞かれ、「ワールドカップ(2月2日&3日の札幌大会)以来だったが、リベンジできたと思う」と応えた。地元で、本来のジャンプができなかった1ヶ月前の悔しさをはらし、応援に来てくれた日本のファンの声援に応えることができたという思いがあったのだろう。

学び舎を巣立つ2013/03/01 20:14

卒業の季節。道北の下川商業高校ではスキージャンプの伊藤有希選手。道東の釧路江南高校ではアイスホッケーの床亜矢可選手が学び舎を巣立った。◆報道陣の取材に応じた伊藤有希選手の様子が送られてきたのだが、VTRを見てみると声がおかしい。ひそひそ話をしているよう。取材陣も一向にその声について質問しない。マイクの不調か、再生機器の不具合か・・・。編集室が俄にざわつき始めた。取材を担当した旭川のスタッフに急いで問い合わせようか。そのとき、やっと質問が・・・。◆伊藤選手は「体調を崩したわけではのいのですが、声が出なくなってしまって」そして、「大丈夫ですか、マイク拾えていますか・・・」。笑いが起きる。◆アイスホッケーの床選手は最後のホームルームで挨拶。笑いを誘った。ソチへ期待が高まる女子アスリートは大舞台へ決意を新たにしていた。

フェイスペイント2013/02/27 15:20

ノルディックスキーの世界選手権。表彰式にはメークさんがいるらしい。表彰台に立つ選手の髪をとかし、化粧を施すのだという。◆イタリアで行われている今年の世界選手権、24日にはジャンプの新種目、男女2人計4人でチームを組む、混合団体があり、伊藤有希、伊東大貴、高梨沙羅、竹内択の布陣で臨んだ日本は金メダルに輝いた。◆表彰式の様子を伝える写真、映像を見ると、4選手の顔に日の丸が描かれている。伊東大貴選手はまぶたに。瞳を閉じると、日の丸が2つ。クルっと姿を現す。竹内択選手は鼻に。トナカイか、ピエロか、喜びが溢れる愉快なフェイスペインティングだ。◆表彰式の前に、大会のメークさんがやってきて準備にとりかかる。高梨、伊藤の10代女子2人は、メークしなくて大丈夫そうだね、ということになった。ならばということで、日の丸を書いてもらおうと話は進む。竹内選手、もう少し控えめだと思っていたようで、出来上がりはイメージとは違ったらしい。◆ジャンプ界にとっては14年ぶりの金メダル。高梨の活躍が日本に推進力を生んだが、アンカー竹内は2本とも1位、エースが揃う第4グループトップのポイントを叩き出している。男子も女子も「チーム」でとった喜びの金メダルだ。

W杯札幌大会2013/01/20 02:22

今シーズンはヒザの痛みもありじっくり調整となってしまったエース伊東大貴(雪印メグミルク)だが、ホームシャンツェで十分、表彰台を狙える状況にあることを実証してみせた。1回目、順位こそ14位だったが、良いジャンプができという。そして2回目はこの回、ポイント1位(飛距離135.5m飛型点54.0、風要素点-17.7、計124.2)で日本勢トップ、今季自己最高の6位にジャンプアップした。シュリーレンツァウアー(AUT)を除くほぼオールメンバーが来日した中で6位は立派。◇葛西紀明(土屋ホーム)が11位、竹内択(北野建設)が16位、小林潤志郎(東海大)が22位。作山憲斗(北野建設)が27位。そして、渡部弘晃(日本大)が29位でポイントを獲得した。◇渡部はワールドカップ初出場初ポイントとなった。

手袋パフォーマンス2013/01/19 14:42

注意も必要。◼1月13日、父親の誕生日にワールドカップで優勝したスキージャンプの高梨沙羅選手。手袋にハピバスデーと英語で手書きしておいたものをカメラにかざした。日本にいた父 寛也さんはサプライズに嬉しそうだったという。家族思いの心あたたまるエピソードだ。◼スキー選手の手袋パフォーマンスは今回に始まったことではない。3.11を遠征先で知った選手たちは日本語で日本へのメッセージを書くなどした。■ノルディックスキー複合の小林範仁選手(現在は引退し秋田テレビ勤務)がフジテレビの番組「ジャンク・スポーツ」で明かしたエピソードは、トリノオリンピック(2006年)で当時、おつきあいしていたガールフレンドに向け手袋に書いたメッセージを国際映像に見せたというもの。話のオチは、そのあと「破局しました」。その小林選手、2011年の世界ノルディックを最後に引退。ここでも手袋に「ありがとう」と書いてカメラに見せた。■メッセージではないが、1998年の長野オリンピックや2007年の世界選手権の団体で、控えに回った選手の手袋やハイネックのインナー、ヘルメット、ゴーグルを出場選手が身につけ一緒に戦ったということもあった。サッカーでユニフォームを2枚重ねて、ゴール後、重ねていた背番号を見せたという逸話に共通する話だ。■ただ、メッセージの内容が公序良俗に反したり、政治的な発言や商業目的のものとなるとオリンピック憲章やアマチュアリズムの点から厳しく制裁を受けることもある。確信犯ならともかく、悪ふざけ、悪ノリ、またはルールをよく知らずにやってしまうことのないよう注意したい。

チェコのリベレツへ2013/01/19 01:53

ノルディックスキーの世界ジュニア選手権に出場する男女のジャンプ代表が19日の渡欧を前に18日、新千歳空港から成田に向かった。この日、新千歳空港を出発したのは男子、清水礼留飛、佐藤幸椰、西方慎護、渡辺知也。女子、高梨沙羅、伊藤有希、山口瑞貴、小林諭果の8選手。丸山純は成田合流。◇女子の個人団体2冠2連覇を目指す高梨は自分のできる最高のジャンプを目指す、同世代の人が集まる大会は楽しみ、ひとりで取るメダルより、みんなで取るメダルの方が倍うれしいと、かねてからから今季1番の目標と話していた世界ジュニア団体連覇に改めて意欲を見せた。◇2年前の個人銅メダリストで前回団体金メンバーでもある伊藤有希は、帰国して短い期間だったが下川での練習で感じをとりもどせた。一番高いところを目指すと話した。◇団体連覇には4人の力が必要になるが、初の海外遠征となる山口瑞貴。小林諭果、成田から合流する丸山純の奮闘がカギを握るか・・・。団体は緊張すると思うが思う存分、戦ってほしい。◇男子の清水礼留飛はジャンプ2人目の金メダリストを目指すと話した。女子の高梨のことではなく、西下和記以来ということなのだろう。ワールドカップでも上位に顔をのぞかせている清水。日程が重なりワールドカップ札幌大会には出られないが、「ワールドカップに出ないでチェコに行くので無駄にしないようにしたい」と話した。世界ジュニアのメダリストはその後、ワールドカップや五輪、世界選手権で活躍するという法則がある。仲村、西下のときそんなエピソードを紹介したような・・・。朗報を待とう。男女とも個人は24日、団体は26日。

バッケンレコードを越えて2013/01/18 00:58

大倉山のバッケンレコード(ジャンプ台最長不倒記録)をマークした金子祐介選手(東京美装)の予想もできなかったアクシデント。そして絶望の淵から復活する金子選手を支えた妻のひとみさんを取材し、2008年に制作したドキュメンタリー「バッケンレコードを越えて」が再び放送されます。放送日は1月20日(日)です。日時は違いますが関西テレビなど北海道以外でも放送されます。◆北海道文化放送は開局40周年を迎えました。40周年事業のひとつとしてドラマを制作しました。1月27日(日)、こちらは全国放送です。ドラマのタイトルは「バッケンレコードを超えて」です。ドラマ化にあたっては事実と違うところ、変えているところもあります。登場人物や時代設定など多くのフィクションを加えています。かつて放送したドキュメンタリーのエピソードをもとに新たに生まれた物語です。◆今回のドキュメンタリー放送にあたってドラマに出演された比嘉愛未さんから寄せられたメッセージも加えられるそうです。ドラマがどのように出来上がったのか、私はまだ知りませんが、予告編の中でも流れている「奇跡は思いの積み重ね」という中井貴一さんの台詞に大きく心を動かされます。ドキュメンタリーもドラマも、私自身は心を落ち着かせて見ることができるかどうか、自信がありません。【北海道外での放送予定】テレビ西日本:1月24日深夜2時5分。仙台放送:1月25日深夜2時25分。関西テレビ:1月26日深夜2時47分。高知さんさんテレビ1月27日午後3時。